第14話 蕾からそっと花開くように
物語のような恋を夢見ていた。
本の世界に出てくるような素敵な王子さまとお姫様のような恋。
だけど、現実はそんな情熱的な恋ではなく...
例えるなら蕾からそっと花開くような恋。
文月は昨日、植物園で葉月と想いが通じあったことを思い出して顔がぽっと赤くなる。
家のベッドで枕に顔を押しあて、足をバタバタさせている。
一方で頭に過る赤羽祐斗のこと。彼に進められたmotherの本。
彼は母親に置いていかれた迷子の子どものようだった。
文月は瞼を閉じて一同大きく息を吐いた。
「学校行かなきゃ」
◇◇◇
1年の教室がある廊下で香取奈歩は赤羽祐斗と対面する。
園芸部は私にとって大事な居場所
その部長の大切な人の為に、奈歩は行動しようと決めたのだ。
「何かな?香取さん」
赤みがかった茶髪。いつも通りネクタイを緩めて微笑みを崩さない。
「目的は何なの。赤羽君」
真っ直ぐに見つめる奈歩に、悠人はフッと笑う。
「人を好きになったらいけないかい?」
その瞳はどこか遠くを見てるようだ。
「そういう気持ちは大事にした方がいいと思う...ただ、あなたのやってることは部長を挑発してるみたい。」
その言葉に目を見開く。
「面白いことを言うね。香取さん」
一歩ずつ詰め寄ってくる祐斗。後ろに下がる奈歩。
(顔は笑っているのに目が笑ってない。この人ー..怖い!)
その瞬間、奈歩を背で庇うように瑠偉が前へと歩みでていた。
「俺の彼女に何か用か?赤羽」
「瑠偉君!」
そんな瑠偉に口角をあげる悠人
「別に何もしちゃいないよ。ナイトくん」
そう言って去っていく。
すれ違う祐斗と瑠偉と奈歩
祐斗が自分のクラスに入ったのを見てから、瑠偉が問いかける。
「大丈夫だった?奈歩」
奈歩は瑠衣の手をきゅっと握る。
「ありがとう。瑠衣君が来てくれてほっとした。」
◇◇◇
文月は朝登校して下駄箱で葉月の姿を見かけた。
「おはよう。葉月」
私の声に彼は振り向いて花が咲くように微笑む。
「文月、おはよう。」
2人は一緒に教室へと歩いていった。
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