第2話 あなたは知らない

文月は図書委員の仕事を終えて下校中に後ろから声をかけられた。

「文月、今帰り?」

「葉月」


牧野葉月まきのはづき 私の幼馴染である。春より前髪が伸びている。眼鏡が似合う顔立ちである。

「そうよ。葉月は園芸部の帰り?」

「うん」

私たちは並んで歩く。


◇◇◇◇

葉月とは幼稚園から高校までずっと一緒だ。

「1年生の女の子も入ったのよね?」

「そうなんだ。だから、始めは同好会だったけど今はめでたく部に昇格!」

目をキラキラさせながら嬉しそうに私に話した。


「すごいね。葉月。好きなことに一直線」

私が感嘆な気もちでいると、葉月は目を丸くする。

「それは文月もじゃん。子供のころから物語が好きで、小学生の時から図書委員。部活も文芸部。文月ほど好きなことに一直線な人はいないと思うよ。僕」

「葉月....]

彼の言葉に頬が薄く染まる。


(ただ、葉月は知らない。あなたが不登校になってた時期、いつも隣にいた葉月がいないことの寂しさを、放課後の図書室で物語を読むことでうめていたことを)


一筋の風が吹いて三つ編みにしてる髪がふわりとゆれる。


夏休みの学校の牧野葉月も登場します。

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