第22話 夏休み最後の思い出

〈ねぇ、廉くん夏祭りがあるんだけど一緒に行かない?〉

〈いいね、いつあるの?〉

〈明日なんだけど行けそうかな、廉くんの家からは2駅くらい先かな〉

俺は芹奈とメッセージでやり取りで明日夏祭りに行くことになった。

調べてみるとそこそこ大きな夏祭りらしい。

〈分かったよ、駅で待ち合わせでいいかな?〉

〈うん!楽しみにしてるね〉



次の日俺は待ち合わせの駅に少し早めに着くように向かう。

待ち合わせの場所に着くともう芹奈が居た。

「私の方が早かったね〜」

「負けたよ、早めに出たんだけどな」

「私もついさっき着いたところなんだけどね、早く行こ」

そう言って手を差し出してくれる芹奈

「その前に、すごく似合ってるよその服」

「ふふ、ありがとちょっといつもと雰囲気違うでしょ」

「そうだね、大人っぽくてかっこいいよ」

芹奈は黒のワンピースを着ていてとてもかっこかわいいのだ。

「じゃあ、早く行こ!楽しみ尽くさなきゃ夏休み最後の思い出を作ろ!」

「芹奈急ぎすぎだよ」

俺は芹奈に引っ張られながら祭りの会場の方に向かう。

駅から出ると祭りの会場までの人がかなり見える。

早めに来ていなければもっとたくさん人が居ただろう。

「まだ人が少ないね、早く遊んで食べ物確保したら花火が見れそうな場所を取りに行こ!」

俺は芹奈とはぐれないように手を繋ぎながら屋台を見て回る。

「ねぇ!廉くん射的だよ!やってみよ?」

「おぉ、いいな」

「お、お客さんいらっしゃい、カップルかい?」

「そうなんです〜、おじちゃん1回やるよ!」

「俺も1回お願いします」

「はいよぉ」

俺はおじちゃんからコルク銃を受け取ると手を伸ばして狙いを定める。

「なかなか難しいな」

「わ、当たったのにぃ!惜しい!」

芹奈の撃った方を見ると確かに景品が動いているのが見えた。

「廉くん、もしかして下手っぴ?」

「今に見てろよ、芹奈より上手いところを見せてやる」

「私に勝てるかな!」

それから残りの弾をお互いに撃って見たが俺の結果は惨敗。

全く歯が立たなかった。

「ふっ、屋台の射的マスターこと芹奈ちゃんだよ」

「お嬢ちゃん上手いね〜、はいこれ景品だよ」

「おじちゃんありがとう!」

「負けちまった……」

「廉くん次行くよ!」


俺は芹奈に引っ張られながら次の屋台に行く。

「見て見て!かき氷だ、食べよ廉くん」

「暑いしちょうどいいな」

「おねーさん、かき氷ください!私はブルーハワイ!」

「俺はいちごでお願いします」

「はーい、ちょっとまっててくださいね〜」

そう言ってお姉さんが氷を用意して削り始める。

かき氷なんて久しぶりに食べるな……

「かき氷なんて何年ぶりだろ、食べたいけど機会がなくて結局食べないんだよね〜」

「そうだな、確かに夏以外食べる機会もないしかき氷機が家にある訳でもないからな」

「だよね〜」

「はーい、お待たせしましたどうぞ〜」

お姉さんから手渡された、かき氷を受け取るなり一気に食べる芹奈

「あぁぁ、つっめたい、頭がキーンってするよ廉くん!」

「一気に食べるからだよ」

「かき氷の醍醐味でしょ!?」

「可愛らしい彼女さんですね」

店員のお姉さんが微笑ましそうな顔で見ている。

「ありがとうございました〜、お幸せに〜」

お姉さんが明るく見送ってくれる、最後に小さい声で「私もあんな感じならモテるのかな」と言っていたのは忘れよう。

呟いている時の顔がガチだった……

「廉くん次どこ行く?」

「そうだな、沢山ありすぎてどこに行けばいいのか悩むな」

「お祭りってそこがいいよね〜」

「確かにな、こうやって選び放題なことなんてなかなかないからな」

「うんうん」

俺と芹奈は少し屋台をブラブラ歩いて見て回る。

少し人が増えてきたな

「だよね〜、離れないようにしっかり手を繋がないと」

「任せろ」

俺は芹奈の手を握り直して花火を見れそうないい場所を探しながら、美味しそうな食べ物を探す。


「廉くん、たこ焼きとか焼きそばがあるよ!」

「いいな、買いに行っていいか?」

「いこいこ」

「いらっしゃい」

「俺は焼きそばにするけど芹奈はどうする?」

屋台の焼きそばは異常に美味しいのだ、家で食べるのとは何かが違う。

「じゃあ、私も焼きそばにする、廉くんお腹に余裕はある?」

「あるけど、なにか頼むの?」

「たこ焼きも食べたいからはんぶんこしよ?」

「いいよ」

「じゃあ、焼きそばふたつとたこ焼き1つで!」

「こちら商品っす、今できたばっかりだったんすよ、お客さんラッキーっすね」

「ありがとうございました」


俺は商品を受け取り、芹奈と手を繋ぎながら歩き出す

「廉くんラッキーだね」

「そうだな、今日はなんだか運が良い気がするよ」

「やったね!花火そろそろ始まる時間だし、見晴らしのいいところ探そっか」

「あそこの階段登った辺りなら綺麗に見えそうじゃないか?」

「登ってみよっ」

俺たちは階段を登る、上にはいくつか座れるところや休憩する場所が設置されている。

「あ、あそこならいい感じそうじゃない?人が来る前に場所取っちゃお!」

「そうだな、急ごうか」




続きが気になった方はぜひ!





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俺の彼女は心が読める 旧題(勘のいい俺と心が読める君) ヤスミ @minonononon

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