第19話 夏休みの終わりが近づく頃に

海の帰り、芹奈と抱き合い頭を撫でた光景が何度も何度も蘇り、またしたいと思うようになった。

芹奈のことを考える日が多くなり、お互いメッセージでやり取りする頻度も明らかに増えている。

しかし、予定が合わなかったりと、なかなか会えない日々が続いた。

「はぁ、芹奈に会いたいなぁ」

家には俺1人、高校生男子がひとりで住むには少し大きすぎる家を借りて貰っているので余計に寂しさが増してしまう。

そういえば、今日は悠真と花村さん一緒に出かけるとか言ってた気がするな。

悠真はあれから覚悟を決めたようで、このデートで告白するんだと息巻いていた。

そんな事を思い出してさらに寂しさが増してしまう。

ピンポーン

「はーい、ちょっと待ってくださーい」

宅配なんて頼んでないし、悠真は今日は花村さんとデートなはずなのでここには来ないはずだ。

ガチャ

「はーい」

「廉くん、おはよう」

「え?」

「来ちゃった!」

「え」

「ふふ、私も寂しかったんだよ?だから〜サプライズで会いに来たんだ」

…………

俺は何も考えず、芹奈に抱きついた。

「え、え?え?」

「ごめん、ずっとこうしたくて」

「ふふ」

芹奈は優しく抱き返してくれた

この時間がずっと続けばいいのにと思いつつ玄関であることを思い出して芹奈を部屋の中に入れる。

「と、とりあえず上がってくれ」

「う、うん」

俺は自分の部屋に芹奈を案内すると飲み物を取りに行くと言って逃げた

「俺何やってんだよ……」

やってしまった……気持ち悪がられてないか?

俺は恐れながらも飲み物を持って部屋に戻る。

「ありがとう、外暑かったから助かったよ〜」

「あの、芹奈ごめん、急に抱きついたりして」

すると芹奈は無言で俺に近づいてくる。

「んふ、はぁ〜、幸せ〜」

「え、ちょ!?」

「私もこうしたかったんだよ〜」

芹奈はそう言いながら俺に全体重をかけてきた。

俺は突然のことにバランスを崩して倒れてしまう。

「こうしてると私が廉くんを襲ってるみたいだね〜」

「その、あの」

色々と当たっていて申し訳ない気持ちになる。

「ふふ〜、恥ずかしがってて可愛い〜」

今日の芹奈はなんというかおかしい、すごく大胆なのだ。

「もしかして酔ってたりする?」

「……」

芹奈は急にムスッとした顔になった

「わーたーしーも!寂しかったの!神崎くんに今日なら行けるって聞いたから今日来たの!!」

そういえば悠真が俺の予定を妙に聞いてきたな。

「ふふ、神崎くんには美咲の好きな物を色々教えたので今頃楽しくデートしてる頃だよ」

「あぁ、今日告白するって言ってたし頑張ってるんだろうな」

「結果が気になるね〜」

芹奈はまだ動かない、そんなに幸せそうな顔をされると退かす気になれないので諦めて受け入れる。

「芹奈さん、ちょっと場所を変えません?地面はちょっと」

「ん〜、じゃあそっち!」

そう言って芹奈はベットを指さす

「あの〜、芹奈さん俺たちまだ高校生なりたてだし清いお付き合いを」

「抱きつくだけだよ?ハグだよハグ」

今日の芹奈はおかしいぞ?

「ん〜寂しくておかしくなっちゃった、甘えたいの、ダメ?」

「どうぞ」

俺には抵抗出来なかった

今なら一冊本を書ける気がする、俺の彼女が可愛すぎる件について?

「…………」

「芹奈?」

「んぅ」

寝たぞ、マジか……

今の俺はベットに押し倒されるような形で抱きつかれていて、芹奈を起こさずに抜け出すのは無理だ。

俺は少し考えたあとどうしようもないことを悟ってしまう。

ほんとにどうすればいいんだ

芹奈の匂いが鼓動が温もりが全てが感じられて、俺の鼓動を早くする。

幸せそうなその寝顔はとても可愛く、寝息もそんなに可愛くなるものなのかと驚く。

「これは寝れそうにないなぁ」

「廉くん……行っちゃヤダ……」

夢でも見てるのだろうか、そんな寝言と共に抱きしめる力が強くなる。

「大丈夫、絶対に離さないから……」

恥ずかしいことを言ってるなぁ……

でも、離したくない、芹奈は俺が幸せにしたいそう思っているのは本心だ

慣れてくると芹奈の体温がちょうどよく眠くなってくる。

「おやすみ、芹奈」




作者です

遅れてごめんなさい

次は芹奈視点で今日のお話を書きます

気になるよ〜って方は是非応援してください。

カクヨムのコンテストに応募はしたのでぜひ

これを機会に知ってくれる方が少しでも増えるといいなぁ(願望)



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