第17話 芹奈のお願いの使い道

着替えて集合した俺たちは電車に乗り帰ることにする。

俺は芹奈を悠真は花村さんを家まで送り届けることになったので途中で悠真達は降りていった。

「今日は楽しかったね、あの二人も仲良くなれたみたいだし良かったよ」

「そうだな、俺も楽しかったよ」

今日は色んなことがあったな、はるなちゃんは可愛かったしあんな子供がいたら楽しいだろうなぁ

「ふふ、はるなちゃん可愛かったもんね、3人で歩いてる時夫婦みたいでとっても楽しかったよ」

「俺も、夫婦みたいだなって思いながらはるなちゃん背負ってたよ」

子供、夫婦、この短い会話に出てくるその単語が今の俺には凄く特別に聞こえて、芹奈とそういう関係になれればなと考えてしまう。

「ふふ、きっと叶うよそのためにも色々頑張らないとね?」

「え、あぁ、頑張るよ」

読まれてしまった……恥ずかしいな……

「あ、降りる駅だ、行くよ廉くん!」

俺は芹奈に手を引かれて駅を降りる。

「えへへ、あのね実は最寄りは次の駅なんだけど、ここからでも歩いて行ける距離だから話しながら歩いちゃダメかな?」

そう言って少し不安そうに聞いてくる芹奈はとても可愛かった。

これで断る男は居ないのではないだろうか。

「よ、よし!じゃあ行こう!」

「うん」

そうして俺たちは歩き出す

しばらく今日の思い出を語りながら、時には無言で手を繋いでいたり、見つめて笑いあったり。

少し長めの道のりのはずなのに、それはすごく一瞬に感じられた気がする。

「あれが私の家だよ!」

そう言って芹奈が指を刺したのは普通の一軒家だった。

「ふふ、送ってくれてありがと」

「全然いいよ、俺も楽しかったよ2人で歩くの」

「そう言って貰えて良かった……」

「あ、あのね、お願い使ってもいいかな」

「いいよ?何をお願いしてくれるの?」

何をお願いされるのだろうか、楽しみにしていたお願いは意外にも早くに来て、俺を悶絶させることになった。

「あのね……」

すると急に芹奈が抱きついてきた。

「え!?」

「頭撫でて欲しいんだ」

「え?」

俺は焦っていて状況を理解できなかった。

「だから!はるなちゃんにしたみたいに私の頭を撫でて欲しいの、ちょっと羨ましくなっちゃったの!」

俺は慌てながらも、ゆっくりと芹奈に抱き返しながら頭を撫でた。

「ふふ、ありがと、やっぱり恥ずかしいな」

「えっと……うん」

「じゃ、じゃぁ!またね!」

「お、おう!」

俺たちは少し慌てながらもその日は解散することになった。


その日俺は何度もその時のことを思い出し悶えていた。

あれは反則だろ……



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