第14話

 トルメル城の城下町の全ての建造物が、次々と白い煙を昇らせて腐り落ちていく。逃げ惑う人々も徐々に白骨化していった。ぼくは、城下町の道路を羽つき二本足の獣を斬り倒しながら、走った。


「うおおおおーーーー!」


 白い煙を全身で浴びながら、ぼくは目に映った獣は瞬時に斬りながら、空から向かってくる獣も斬り倒す。


 辺り構わず斬り伏せていると、辺りは静かになってきた。地面には、ぶすぶすと白い煙を上げておびただしい数の獣たちが、息絶えている。今度は、ぼくは城下町の外へと出ようとした。


「おお、勇者よ。なんて、強さだ!」

「……今のぼくに話し掛けるな」

「魔のものは、この先の北の方にいるんだ。どうか、その剣で斬ってくれ。この国の王を守ってくれ」

「……」


 ライラックに似ている男が、城の外へと向かう道すがら懇願してきたが、その男は泣いていた。ぼくは、その……ライラック家のものを置いて、白い煙を上げている城門を開けた。    


 わかっている……。


 わかってるんだ……。


 ぼくは……。


 魔族を倒すために、ここへ来たんだ!!

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