第10話
広場の入り口の途中で、コーリアが帰るとぼくは一人だけで、トルメル建国記念祭の白い花だけで飾ってあるアーチを通った。
「あーー!! 勇者さまだ!! その服装ーーー!! 勇者さまよね!!」
小さな女の子がぼくの傍へと、向こうから駆けて来た。
え?!
な、何??
え?? 学ラン引っ張るなよ?!
ぼくを勇者って呼ぶのは、コーリアしかいないのに??
そして、ぼくの手を握ると、ぶんぶんと元気いっぱいに降りだし。ニッコリと笑った。それから、他の小さな子供たちが集まってきてしまった。
困り果てたぼくは、笑顔を無理にでも作り、密かにこの祭りの角へとゆっくり歩いて行った。だが、それがいけなかった。祭りの角は親たちのたまり場の一つになっていて、今度は大人の男や女たちが集まってきてしまった。
この異世界である中世のような服装のチュニックなどを着ている人たちは、ぼくの顔を一目見たいと思っているのか、あるものは、マジマジと見つめ。あるものは、にこやかに見つめていた。
どの顔も多大な期待の目をしていた。
「おい! この手の模様見てみろよ! 勇者さまだよ!! 正真正銘のトルメルの勇者さまだ!!」
あ!!
ぼくの手が?!
いつの間にか、大男に、ぼくの手をがっしりと握られてしまい。天高く挙げられる。一瞬にして、みんなの間で大歓声が上がった。
ぼくはどうしていいのか。
混乱する。
う、恥ずかしいというより。
困っていた。
ふらふらするほどの眩暈が……?!
いや、嬉しいは嬉しいんだけど!!
な……なんか、クラクラとしてきたぞ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます