第10話

 広場の入り口の途中で、コーリアが帰るとぼくは一人だけで、トルメル建国記念祭の白い花だけで飾ってあるアーチを通った。


「あーー!! 勇者さまだ!! その服装ーーー!! 勇者さまよね!!」


 小さな女の子がぼくの傍へと、向こうから駆けて来た。


 え?!

 な、何??


 え?? 学ラン引っ張るなよ?!


 ぼくを勇者って呼ぶのは、コーリアしかいないのに??


 そして、ぼくの手を握ると、ぶんぶんと元気いっぱいに降りだし。ニッコリと笑った。それから、他の小さな子供たちが集まってきてしまった。


 困り果てたぼくは、笑顔を無理にでも作り、密かにこの祭りの角へとゆっくり歩いて行った。だが、それがいけなかった。祭りの角は親たちのたまり場の一つになっていて、今度は大人の男や女たちが集まってきてしまった。


 この異世界である中世のような服装のチュニックなどを着ている人たちは、ぼくの顔を一目見たいと思っているのか、あるものは、マジマジと見つめ。あるものは、にこやかに見つめていた。


 どの顔も多大な期待の目をしていた。


「おい! この手の模様見てみろよ! 勇者さまだよ!! 正真正銘のトルメルの勇者さまだ!!」


 あ!!


 ぼくの手が?!


 いつの間にか、大男に、ぼくの手をがっしりと握られてしまい。天高く挙げられる。一瞬にして、みんなの間で大歓声が上がった。


 ぼくはどうしていいのか。

 混乱する。


 う、恥ずかしいというより。

 困っていた。

 ふらふらするほどの眩暈が……?!


 いや、嬉しいは嬉しいんだけど!!

 な……なんか、クラクラとしてきたぞ……。 

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