第3話
「うーん、勢いで学校の外にも出ちゃったけど何しようか。」
校門の前で立ち止まった彼女はそんなことを言い出す。
有無を言わさず連れ出したくせに無計画なのかよ、僕とこの人は相性が悪そうだ。
「人を連れ出しておいて無計画なのか、というか鞄は教室だし、一旦学校に戻るしかないんじゃ...」
「あ、それは大丈夫!わたしスマホ持ってるし!キャッシュレス派だから!」
「いや、そういう問題じゃ」
「まあとりあえず海にでも行ってみますか!交通費とかはわたしが出してあげるから心配しないで!」
「いや、スマホだけは制服のポケットに入れてるし、交通カードはモバイルだから...」
「んじゃ問題ないじゃん!レッツゴー!」
彼女に手を引かれ僕たちは学校から離れ、駅に向かう。
向かうと言っても僕らの学校は駅の真正面に位置しているのだが。
「君は電車どっち方面?わたしは桜ヶ丘方面なんだけど。」
「あ、僕バス通学なんだ。」
「ふふ、知ってる。」
知っているならなぜ聞いたんだ、というかなぜ知っているんだ。
「あ、今何で知ってるんだとかこいつもしやストーカーか?とか思ったでしょ。」
「前者は思ったけど後者は思ってないよ。第一学校のマドンナが僕なんかのストーカーをするほど暇だなんて思わない。」
「前にね、早く目が覚めてバスで遠回りして学校行ったことあるんだ。その時に見かけた。毎日早く出て神社にお参りしてるの?」
「質問に質問で返すようで申し訳ないけどこの誰の得にもならない会話を続ける気なの?」
「まあいいじゃん、減るもんじゃないし。」
「通学路に神社があるからね、さすがに学校がない日はしないけど。」
「学校がある日は毎日お参りしてるってこと?何かどうしても叶えたいお願い事でもあるの?」
「そもそも神社のお参りは神様に願いを叶えてもらうためにするものじゃなくて日頃の感謝を伝えたり今の自分を神様に報告することが目的であって...」
「ふーん、その話長くなる?そろそろお昼休み入るし早く海行こっ!」
興味なさそうに相槌を打った彼女に言われるがまま僕たちは駅の改札をくぐり電車に乗った。
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