ロックガルドの悪魔

第34話 ロックガルドへ到着!


「…………トオルさん? どうしましたか?」


「いや、何でもないよ。ごめん、先に進もうか」


 再び意識を取り戻す僕。

 僕とヒカリは、改めてロックガルドへの旅路を再開していた。

 色々とごたついてしまったが、一刻も早くロックガルドに行かなければらない。


 目的は、僕の最愛の妹である千奈を探し出すことだ。

 道中にモンスターの襲撃が予想されたが、なんとあれから一匹もモンスターの襲撃にあっていない。これはかなりの幸運だ。

 そしてついに……


「つ、着いた」


 僕たちはロックガルドへ到着することができた。


「お、おお! 凄いな!」


 ロックガルドの町は、モースとは比較にならないほど大きかった。

 町の賑わいも半端ない。


「さすがは、この世界で一番の町ですね」


「これだけ広いと、探索するのも骨が折れそうだね」


「そうですね。とりあえず、適当に回ってみましょうか」


 なんとなく歩いてみたが、それだけでこの町がどれだけ栄えているのかが分かる。

 まず、出歩いている人の数がモースとは桁外れだ。

 どこを見ても人、人、人。酔ってしまいそうなほど、人間で埋め尽くされている。


 いったいどこまでがNPCで、プレイヤーが誰なのか、全く分からない。

 まずいな。これだと千奈がいたとしても、気付かない可能性すらあるぞ。

 情報を求めてこの町に来たのだが、人が多すぎても、情報過多となってしまうようだ。

 千奈……いつでも僕の味方をしてくれた大切な妹。今は何処にいるのだろう?


「トオルさん。ここは手分けをして情報を集めてみませんか? その方が効率的かもしれません」


「そうだね。分散した方がいいかもしれない」


「はい。では、一時間後に町の中心部に集合でいいですか?」


「うん。わかったよ」


 ヒカリと分担して千奈の情報を集めることにした。

 手分けすれば、たくさんの情報が手に入るだろう。

 狙いは、冒険者のスタート地点となる場所だ。


 ヒカリと別れて、ロックガルドの町を更に歩いてみる。

 目につくのは店の多さだ。ここは商業の町としても有名なのだろうか。


 普通の町は、武具屋と道具屋と宿屋くらいしかないものだが、僕はすでに十件以上の店を通り過ぎていた。

 特にこの町には道具屋が多いようだ。

 ひょっとしたら、かなり珍しいレアアイテムなんかも売っているかもしれない。


「そこのお兄さん、『ハイパーボード』の体験会をやってますよ! いかがですか?」


「ん? ハイパーボード?」


 女性の声が聞こえて、僕はそちらに意識を向けた。


「空を自由に飛びたいな~♪って思ったことはないですか? これに乗ると、その願いが叶いますよ!」


 どこかで聞いたことのあるキャッチフレーズを持ち出して、可愛い猫耳の女性定員が、スノーボードのようなものをこちらに見せてきた。


「え? これで空を飛べるの?」


「はいっ! 上を見てください!」


「上? …………おわっ!?」


 言われてから、空を見上げて僕は驚いた。

 そこにはたくさんの人々が空中を行き来していたのだ。それぞれがボードに乗って宙を浮いている。

 気付かなかった。このゲームは飛行して移動することも可能だったのか。

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