第69話 死霊の番人
ジンはこれから陽太がやるであろう、アレに対して興味を抱く。もしこれが本物の戦闘ならば、ジンは即座にそのアレを発動させまいと攻撃を仕掛ける。しかしこれは相手の実力を知るための模擬戦。ならばそれを知りたいと思うのは、間違っていない。
「ということで、ジンの足止めは私がさせてもらいます。いいですよね?」
「ああ、構わねえよ」
ジンと紫苑はそんな簡素な会話をした後、自身の獲物である武器。ジンは紫黒刀『死見堕礼』を、紫苑は『
ジンの魔力と、紫苑の魔力、妖力も同じくしてぶつかり合う。厄介だな、ジンは自身の魔力に対抗している紫苑の力に向かってそんなことを思う。そもそもとして、ルア、ミナの力はジンと元々相性が悪いのも関係しているのかもしれないが。
『怪籙狗死』
紫苑は死の特典を利用した魔法を発動させる。ジンはそれに対し、紫苑の大鎌とぶつかっている刀を引き、両手で構える。確かにジンはこの生、死は苦手だ。しかしだからどうしたのだろう。ジンは英雄、ジンは守護人、ジンは斬り人。あまたのものを切ってきたジンにとって、こんなもの、切れないうちには入らない。
「王帝剣流」
『空唄』
自身の周りに展開された魔法を斬り伏せる。しかし紫苑は焦った表情が見えない。それどころか、計画通り、と思わせる表情を浮かべた。
「時はみちる、戦乱の嵐。欲望は暴走し、絶望が支配する。無法の深淵。それらが人類に襲いかかる。滅亡、無法、神愛。恐怖の象徴。ならば導こう、英雄として、王として、守護者として、困難として。幸せでこの世界が満ちることはない。それでも、戦い続けよう」
『第一の試練:
ジンの耳に、そんな詠唱が聞こえてきた。ジンにとって、この詠唱は心当たりがある。何度も、何度も聞いてきたのだから。
(ルアの固有魔法か……!確かにそれならば切り札になるのも納得できる。しかし考えなかったのか?俺に対策をされていることを)
ジンはそんな疑問を抱えならも、ジンは陽太に向かって自身の刀を振り下ろすべく、縮地で移動をする。
「煉獄童子」
陽太はそう、ボソッと呟くと、陽太の周りに煉獄が生じる。ジンはその煉獄に対し、それに触れたらまずい、と感じて突っ込む体を強制的に止める。
「ふぅ、変身完了、ってとこかな」
煉獄が終わり、その中から出てきた陽太は、赤く、そして激しく燃えている角を生やしていた。ジンは、燃えている部分は僅かな部分なのにも関わらず、膨大な熱量を感じた。そして、理解をすることができた。陽太の特典が災害だということに。でなければこの圧倒的な出力に説明ができない。
ジンはその陽太の変化に冷や汗を流しながらも、自身の竜力を炎竜の力に変化させ、自身に膨大な量の炎を纏う。
「武器、使わないのか?刀を亜空間倉庫にしまっているようだが」
「このモードになると、どうしても肉弾戦をしたくなっちゃうんですよ」
「侍の誇りはどうしたんだよ……。そんじゃ今のお前に付き合ってやるよ」
ジンはそんなことを言いながら、自身の刀を鞘に収め、亜空間倉庫に収納した。本来、ジンの得意分野とは肉弾戦と魔法の組み合わせによる戦い方だ。
「行きますよ!」
「ああ!来い!」
固有魔法を使い、身体能力が格段に上昇している陽太は一直線に拳を向かわせる。ジンはその拳を避けず、腕と腕をクロスして防御をする。どれくらい身体能力が上がっているのか、そんな疑問を確かめる為の行動だったのだが、想像していなかった程の重さがある攻撃がジンに襲いかかる。
陽太は攻撃を受け止め、顔を少し歪ませているジンを見て、効く事が分かったのか、もう片方の腕で更に拳を向かわせる。ジンは、自身の腕で防御している陽太の拳を流し、左腕の拳を向かってくる拳にぶつける。
触れ合った瞬間、互いの熱量が合わさり、強烈な爆発が巻き起こる。それによって発生した煙を晴らすように、腕を振ると、ジンの懐には陽太が拳を構えていた。
『欲妖武闘流:
ジンは今この瞬間に腹に集まる事が出来る魔力、妖力、霊力、竜力……そんな様々な力を使用して、腹にくふダメージを最小限に抑えた。しかしそれでも、多大なるダメージな事は変わりなく、吐血をする。しかしそれで止まるジンでは無い。
ジンは腹に拳による打撃を喰らった後、陽太の頭を掴み、放り投げる。ジンはその放り投げた陽太に向かって攻撃をしようとしたが、止めた。否、止めさせられた。
『
ジンは紫苑の魔法、針落としを避ける。いや、避けなければならないのだ。針一つ一つに死の力が込められている。死にはしないが、大きなダメージを喰らう事は間違いない。
「だー!多いったらありゃしない!どうなってるんだよ」
ジンはそんな不満を口に出しながら、降ってきている針を掴み、その針で落ちてきている針を自身に当たらないように落とす。
「生きる誓い、天の絆。命の数々」
『
ジンは自身の右手に魔法陣を刻み、炎の魔法を発動させようとする。
「ストーーップ!」
しかし未亜によってその魔法は止められてしまった。
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