番外話 封印されたもう一人のアジ・ダハーカ(■■■■)
ガチャリ、そんな金属音が暗闇の中から聞こえる。
「本当に元気そうだ。アカが元気になってくれて良かった。昔は本当にヤバかったからね」
全身を鎖に繋がれて、縛られている全裸の女がそんな事を言う。
その女の名は【厄災の愛竜】■■■■。
原初の時代に、アカと共に頂点へと降臨した相棒であり、アカ自身のもう一つの人格だ。
「しかし、起きてこい、か。全く、無茶を言ってくれるじゃん。私は何度もやって目覚めようとしているのに、起きれないんだよ」
先程の安堵した様な顔と声とは違い、今度は不満を感じているかのように唇を尖らせた。しかしその表情は一瞬で崩れ、昔からそうだったな、とため息を吐く。
「『俺は出来る奴にしか任せんし、出来ない奴には信頼もしない』だったっけ。信頼してるんだよね、私が出来ると思われてるから」
厄災はアカが昔言った言葉を思い出す。何年、何万、何億、何兆、それ以上に経っているのに、それでも自身を信じているアカにバカという一言を送りたいと、厄災は思っていた。
そしてそれと同じく、感謝を贈りたいとも。こんな自分をこんなに経ってまで信じてくれてるって、そう感じたからだ。
「まぁ、勝手に好きな人を作ったのは許せないけど。私の方が、未亜ちゃんや
そんな言葉を厄災は口にするのだが、一番になれなかったのは自分のせいだとも考えていた。別人格に好きになられるなんて、気持ち悪いって思われるかもと思ってしまったから。
だからその想いを心の中に閉まって、蓋をしてしまった。
「私だってアカとイチャイチャしたい!」
厄災はそう叫びながら、子供みたいに駄々を捏ねて体を動かそうとするのだが、全身を縛り付けている鎖がその行動を止めている。
「この封印も解かなきゃだし、未亜ちゃんのサポートもしなきゃいけないよね。私もあの子、気に入ってるしね」
厄災はそんな事を言った後、「ふふふ、やっと楽しくなってきたねえ」と上機嫌に喉を鳴らしながらそう呟く。
幸か不幸か、未亜は目をつけられた。原初の時代のもう一人の最強に。
何処まで行っても、自己という道を歩み続ける、そんな厄災竜に。
「ロッド君も割と興味を惹かれてたけど、今回の未亜ちゃんはそれ以上だよ。それと同じくらいに、謎と未知に満ちている。本当に何者なんだろうね」
原初の時代から巡り巡って広がった世界は原初の世界の残滓によって形成されている。それは人も同じ事。だから輪廻の輪というものがあるのだ。しかし未亜は其れ等全てに適さない。未亜からは原初の世界の残滓が全く確認されていないし、輪廻の輪によって転生した跡も見られない。
だからこそ不思議、だからこそ世界にとっての異物。それなのに世界はそれを許容している。世界の人格は昔から変わっておらず、臆病なままなのに、だ。アカを失って崩れるのが怖いからと枷を付けている者と同一人物とは思えない。
「まあ別に良いよね、こんな事。未亜ちゃんが何者だろうと、私には関係ない。私とアカが未亜ちゃんの事を心の底から気に入ってるただそれだけ」
【厄災の愛竜】■■■■
内包されている基礎能力
・魔力干渉操作
・竜力適正増加
・天■■秘
・
・厄災オーラ
【魔力干渉操作】
自他問わず、魔力を干渉して操作出来る。そして自然の魔力を干渉操作する事も可能である。使い手が適していれば、■■■■も幻獣である竜なので、空気中の魔力に存在している魔力妖精の能力の抽出が出来る。
【竜力適正増加】
竜力を持ち得ていない者たちには竜力が獲得できる確率を増加し、すでに持ち得ているものには、竜力との親和性増加、竜力の効果上昇、竜力への変化効率上昇などが当たる。そしてそれ以外にも、竜力や、竜力以外の力の操作技術上昇もある。
【天■■秘】
■■■■が封印され、能力となる前の、アカと共に頂点、最強として降臨していた時によく使っていた能力である。一応、基礎能力とされているが、これを使える可能性があるのは極少数である。それにもし使えても、本竜のようにはいかないであろう。
【戦闘特化人格】
自身の思考を先頭に適している判断力、選択力、そんな様々な戦闘にとっての大事な要素を最適化させる能力である。そしてその戦闘に適した思考が、元々の思考を侵食する事はなく、戦闘が終わったら元に戻る仕様である。
【厄災オーラ】
身体強化、魔法強化、能力強化、様々な一時的強化に対して、どれでも使える万能なオーラである。しかし、万能で効力も高い分、デメリットもそれ相応に高い。身体強化は言わずもがな、魔法強化、能力強化を使うにも、体内を一度通さなくてはならない。なので並大抵の体ではその厄災オーラの重みに耐えられず、生を失ってしまう。
その厄災オーラに耐えられる体というのも相当の基準となる。具体例を挙げるとするならば、未亜などがそれに当たるのだ。
好んでよく使う魔法
広範囲殲滅用
・
中範囲殲滅用
・
個人用
・
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