第46話 最強原初の竜王帝

俺は久しぶりに現世に降臨し、少し高揚してくる気分を抑えながら、魔力を巡らせて魔法を発動させる。


人体変化ヒューマ・フォーメイション


俺がその魔法を発動すると、いつも心象世界での人間姿に変化する。うーん、やっぱり竜の時の姿よりも、人間の時と姿の方が馴染むね。原初の英雄時代も人間でいた時間が多かったし。


「現世で会うのは初めましてだね、マスター」

「そうだね、ジン。…………………聞きたい事があるんだけどさ、なんでジンが降臨したら私の魔力とか、邪力とかの諸々が上がってるの?」

「それは俺が現世に降臨したからだね。俺が現世に降臨する事で使用者と能力とのリンクが繋がりやすくなるんだよ」

「なるほど…………」

「マスター、話は此処ら辺にして彼奴に意識を持って行こうか。気張っていくよ、マスター!!」

「了解だよ、ジン!!」


俺とマスターはそう会話をした後、起きあがろうしている黒いノに向かって走り抜ける。見せてあげるよ、黒いノ。原初の竜王帝と言われ、恐れられた俺の力を!


「少し痛いのを…………喰らいな!!」


俺は竜が操り、得意とする力、竜力を拳に纏い、黒いノの頭に叩き込む。そして黒いノが悲鳴をあげ、苦しんでいる隙に黒いノの角を掴み、上へと放り投げる。



「ゾノゴニジシデキメゾゾコヲソムゾゴゾノゴメヒメゾソムギヌビュビ!?」


黒いノは驚きながらも、体内で魔力を巡らせ、体勢を整えるべく、魔法を発動させようとする。残念だけどな、出来ねえぜ。黒いノ。お前が居る所には、俺のマスターである相棒が居るからな。


「私の熱、味わっていきなよ!!」


死過剰熱撃暴オーバー・ヒート


マスターは自身の手を黒いノに翳した後、熱属性の魔力を魔法陣に通し、撃ち放った。マジか……!?魔力を闇属性に変化した後に熱属性に変化しやがった!?魔変連華…………あの高等技術をサラッとしやがった。嗚呼、嗚呼!良いね、最高だ!気分が最強に昇ってきたぜ!


「知ってるか?竜ってのはなぁ……怪物じゃなくて、幻獣なんだぜ。だから!!」


俺は黒いノにそう言い放った後、手と手を合わせ、自身の魔力を外に放出する。そして俺は空気中の魔力に秘められてある能力を抽出する。これも幻獣である竜だから出来る事である。


「魔精抽出」


自然禁忌魔力能デュアン・ケルス


俺は上に居る黒いノに手を向けた後、空気中の魔力に存在する妖精(笑)から抽出した魔法を使うべく、魔法陣を展開して魔法を行使する。


「ギォジコヲムエリキボシテヲツメボコツシメシエサムエエヒケヒムキエニエシテ!?グギュボラリヌケエヨ!!」


俺が空気中の魔力から抽出した魔法を喰らった黒いノは悲痛そうな声を出す。俺とマスターは更なる追撃をするべく、黒いノに近づこうとするのだが、俺は動きを止め、マスターに呼び掛ける。


「止まれ!マスター!」


俺のその声にマスターは止まると、黒いノは自身の魔力を身体を媒介にする事で魔法として放出する。危なかった、あれを喰らったら流石に不味かった。


「ねぇ、ジン。あの化け物が魔力放出したみたいだけど…………」

「そうだねぇ、上限が上がってる。あの黒いノ、進化をしたみたいだね。全くさぁ、困るよ。進化ってのは特別なのに……………こうも簡単に進化されちゃあ価値が薄れちゃうよ」

「前にジンが言ってた"特異点"?が近づいてきてるんじゃ無いの?」

「嫌だなぁ、特異点ってめっちゃ面倒臭いんだもん。まぁ、今はこの話は良いか。マスター、手を合わせて。俺に内包されてある特異能力を使うよ」

「了解」


マスターはそう言った後、俺が差し出した手に自身の手を合わせる。そんじゃ、魔力を合わせるとしますかね。俺はそう考えながら、俺自身の魔力とマスターの魔力のリンクを繋ぎ合わせる。感覚的には矛盾の証明ファースト&ファーストと似ている。


『『竜鱗龍装グラフェンス』』


俺とマスターかその魔法を発動させると、自身の肌に竜種特有の鱗が。そして尻辺りには黒い尻尾が。そして頭の上には尻尾と同じで黒い角が生えている。ちなみに尻尾は服などの身に着ている障害物を通り抜ける仕様である。


「ジビコテヒメヒエシ!?テヒテソエシテジシテソ!!」


黒いノは俺とマスターの姿の変化や、魔力などが急激に上昇した事に驚愕をしながらも、魔法という名の攻撃をしてくる。俺とマスターはその魔法攻撃を身体を捻ったり、指や手から魔法を撃ち出し、黒いノの魔法を撃ち消す。


竜戦山脈理玖弦ドラミット・ルーミック


緋煌龍刻琰シャグネック


俺とマスターは黒いノの魔法攻撃を避けながら魔法を行使する。俺の竜戦山脈理玖弦は多数の光線になりながら黒いノの魔法とぶつかり、爆発する。マスターの緋煌龍刻琰は俺のとは違い、多数の光線ではなく、巨大な一つの炎属性の光線となって黒いノの魔法とぶつかり、爆発する。


「隙を見せすぎじゃ無いか、黒いノ!」


俺はそう黒いノに向かって叫んだ後、自身の人差し指に魔力を収縮した後、細かく、鋭い光線となって飛び抜けていく。黒いノは自身の手を両手に重ねて受け止めたが、血がポタポタと流れ出ている。もちろん、すぐにその傷を再生して塞ぐが、その再生に集中しているのは、大きな隙だ。


絮河騾珠連留ピニミンス


上からキラキラとした光が俺たちに当たる。そう、マスターだ。黒いノは何かが可笑しいと思い、上を見上げるが、もう遅い。マスターは魔力を通し、魔法を発動させる前なのだから。


黒いノはそれでも防御をしようと思い、右手で結界防御魔法を発動させるが、マスターの魔法はその結界防御魔法すらも貫通する。


マスターの魔法は黒いノの結界防御魔法を貫いた後、黒いノの右上半身を吹き飛ばした。そんじゃ、これで終わらせるぞ、マスター!!


『了解!』


俺とマスターは魔力と邪力を高めながら、俺の固有魔法を発動する。


「「我は邪竜、我は人、あらゆる憎しみを背負った忌むべき対象。我は、我らは怒る。貴様らが理不尽なまでに我らを追い詰めたのだから。今こそ決戦の火蓋が落とされる。古の誓いを果たすべく、今我らは動き出す。さぁ、悲劇の始まりだ」」


『邪人憎悪乃悲劇夜悪契約譚』


『第一章:世界の禁忌』






2325・11/28・10:35

【勇気の正竜】アジ・ダハーカ&【至愛の竜姫】花唄未亜


勝利

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る