第45話 勇気の正竜・降臨

私が『修王羅月』で化け物の手を切り落とす。しかし何かが可笑しい……………化け物って、こんなに柔らかかったっけ?さっきに化け物を殴った時はもう少し硬かった気がする。


「ギュノビコポキヲギュケヲザガガビゴキ!!」


化け物は私にしてやったり!という声と笑みを向ける。何故だ……………何故そんな笑みを私に向ける…………?


「まさか…………っ!?」


私はその事に気づき、私が切り落とした手に振り返ると、私が切り落とした手が私に向かって飛んできて、私を掴んで拘束する。


「ボゾコョキテヲムゾキケヲソシメヲゴゾソムゴサエロソ」


化け物は私を拘束した後、再生した右手で拳を入れてくる。私は防御体勢を取る事は出来ず、大きく吹き飛んでしまった。


私が自身の身体を動かそうとすると、私を拘束している手の力が強まり、骨が軋む音が私の脳内に響き渡る。動けない程痛くは無いけど……………これ、不味いね。私が身体を更に強く入れて動かそうとすると、更に強く力を込められる。


「なぁに捕まってんだよ、花唄ァァ!!」


ルガランスはそう叫んだ後、クエイクと一緒に私を拘束している手に攻撃を叩き込んだ。


極限震天地オーバー・クエイク


至宝散烈永劫ピース・オーパーツ


「ごめん!助かった、ルガランス、クエイク!」

「はっ!今度は簡単に捕まんじゃねえぞ!!」

「まぁ、もう少し注意はしてほしいけどな」

「うぅ…………ごめん」


化け物は解放された私、いや、私達に目を向けた後、人差し指に魔力を溜めている。あれは…………人差し指に魔法陣が付与されている。なるほど、あれは闇魔力の砲撃か。


私が化け物の魔法を分析していると、化け物の背後から槍が飛んできた後、貫通した。化け物はその衝撃に驚き、魔法を途中で停止する。


「よっと……………はい、優香」

「ありがと、未亜」


私は優香の槍を取った後、縮地で此方に来た優香に槍を渡す。


「んでよ、花唄。お前ある程度吸収したろ?まだ出来ないのかよ?」


あー、それはどうなんだろう。多分ジンがそういうのをわかってるんだと思うんだけど………どうなの?ジン。


『ごめんけど、まだ利用できる位まで解析が終了してない。あの化け物の邪気が想定外過ぎた。彼奴、自身の邪気を利用されない為に自身の邪気を細工しやがった』


「ごめんけどまだ無理。吸収した邪気の解析がまだ終わってない」

「はぁ?普通吸収したら即座、に……………細工されてあんのか、邪気が」

「そゆこと」

「だったらどうする?お前は解析に集中するか?」

「いや、別が解析してるから私が解析しなくても良いんだよ」

「別?………別人格とかか?」

「まぁ、そんなもんだよ」


私とルガランスがそう話していると、化け物はもう我慢の限界なのか、腹をドンドンドン!!と叩いた後、空中に魔法陣を刻んだ後、魔法を私達に落としてきた。


「よし!これは避けようか!」

「それ以外の選択肢なんて存在してねえだろ!?」

「文句を言うなら全部ぶっ壊してきてよ!」

「だから言ってねえって!!」


私とルガランスはそんな事を言い合いながら魔法を避ける。しかし、これは避けるの難しいね。どんなに避けても避けても次々に魔法が落ちてくる。全く、あの化け物の魔力量はどうなっているんだか。いやまぁ、あれだけの邪気があるなら当たり前なのかもしれないね。


星六角形スター・シックス


私は上空に右手を翳し、魔法陣を刻んだ後、上の魔法陣に向かって魔法を撃ち放つ。そして六つの光線が魔法陣から出現した後、その光線が上の魔法陣にぶつかり、爆発を起こす。


「ギュヨマコユシツゴシテンソムホメヲゴキミソメシメヒテツニェゾホエムホムノソユゴソネビマキテニノメヒムハ!?」


化け物はその事実に驚愕し、困惑する。それはこれだけの事をする力がある事だろうか、それとも、どうせ死ぬのだから意味は無いという事なのだろうか。


まぁ、どちらにせよ______


「調子に乗ってんじゃねえよ、化け物ォォォ!!!」


無骨千変花衝ノーブルズ・インパクト


クローバーはそう叫んだ後、自身御自慢の模倣を使って技を叩き込む。


______私達人間を舐めすぎである


「おぉらよぉ!!」


クローバーの強烈な技を喰らった化け物は、倒れそうになるぐらい大きく揺れる。しかし根性と矜持プライドで倒れるのを防ぐ。しかしクローバーは終わっても、他の者達は終わっていない。


「面白いもん、あげるよ!」


祭典喜絶地震フェスタ・クエイク


クエイクが追撃として、自身の特異能力に内包されてある『天地震撃』で地震属性を付与した拳を喰らわせる。


「ジボリョリボホメソムゾ!?グリテリソワ!!」


強烈な攻撃を連続で喰らったからなのか、化け物は痛そうな声を挙げながら更に揺らいでいく。


そして更に追撃、ルガランスの攻撃である。ルガランスは化け物の上空に移動した後、手と手で組み合わせ、塊にし、それで化け物の頭を殴り、叩き落とす。


私は其れを隙と捉え、空中に複数の魔法陣を刻んだ後、魔法を連射する。あまりダメージは入らないだろうけど………………やらないよりはマシだと思う。それで?ジン。どのくらい化け物の邪気の解析は進んでるの?


『嗚呼、もうすぐで終わる。…………………よし!終わった!マスター、やるぞ!!!』


「『時代と壁を越え、原初の英雄が降臨する。竜王帝にして、元邪竜の正竜が。世界を救い、命を凌駕した超越が。さぁ、歓迎しろ、世界よ。祝福の、勇気の正竜の降臨だ』」


「『召輪永命エルヴェッシュ』」


私から邪力、いや、邪気が発せられ、私の上空に集まっていく。そして邪気が形となっていく。尻尾、角、爪が真っ黒な白竜が降臨する。


「ガギュルアァァアアア!!」










ふふ、やっと直接会えたね、ジン。







2325・11/28・10:28

【勇気の正竜】アジ・ダハーカ降臨

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