第37話 白峰陽菜=ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ
「それで?今からその組織に向かうんですか?」
「あぁ、そのつもりだ。準備は良いか?」
白峰さんの言葉にこの場にいる全員(白峰さん以外の人達)が頷く。
「よし、分かった。それでは行くとしよう」
白峰さんはそう言った後、自身の亜空間倉庫から札を取り出し、地面に貼り付ける。そうすると、その札を中心とした魔法陣が展開された。
『物体付与型転移魔法陣か……珍しいな』
そうなの?確かに物体に付与された転移魔法陣は見た事無いけど。私がそんな珍しい物を何故白峰さんが持っているのだと思ったが、すぐに納得した。そういえば白峰さんって付与使いだったね。納得だよ、納得納得。
『まぁ、白峰陽菜は大体が肉弾戦だからな。俺さ、付与使いで肉弾戦をあんなにも高めてる奴、初めてみたんだけど』
それは私もだね。私とジンがそんな会話をしていると、地面から発している魔法陣がピカッと光った後、魔法陣の魔力が強まる。私は転移魔法陣って何でこんなに眩しいんだろ、と思いながら目を開けると、狐の仮面を付けた人達が荷物を運んでいた。
「白峰さん、転移は?」
「バッチリ、成功だよ」
「なるほど、つまりこの人達が組織の構成員達と……………だったら攻撃できるね。最初は少し派手に行こうか!!」
それじゃあ、魔力を合わせて大胆に行こうか。やるよ、ジン!
『あぁ、わかってる!』
私はジンとそう言った後、手と手を合わせ、魔力と邪力を融合させる。威力は其処まで高くなくて良い、その代わりに範囲を大きく変化させる。よーし、出来た!!私は技の完成と同時に両手で押し潰すと、私を中心に爆発が生じた。
「わーー、威力は抑えめにした筈だけど…………結構吹き飛んだね」
「花唄くん?君は馬鹿なのかな?私が皆に結界を貼っていなかったら爆発に巻き込まれていたぞ!?」
「まぁまぁ、落ち着こうよ」
「誰のせいだと思っているんだ?」
「そんなに怒らないでよ、白峰さん。それに、来るみたいだよ?」
「はぁ…………………しょうがない。話はあとにしよう。各自攻撃体制を取れ!個々で撃墜するぞ!」
「「「「「了解!」」」」」
「全く、いきなりやってもらっては困るのだがな。まぁ、態々此方が出向かなくなったとは礼を言っても良いかもしれないがな。君たちはどう思う?」
私は目の前に立っている隊長格の男達にそう問い掛ける。しかし隊長格の男達は答える事などしなかった。当たり前か、組織の隊長格なんだ。もしそんな事を言ってボロを出したら失態なんて物じゃないからな。
私はそう考えながら拳を構える。魔力を張り巡らせ、いつでも戦闘に突入出来る様にする。
「来てみたらどうだい?」
私は手をクイッと手を捻り、隊長格達を挑発する。そうすると、その挑発に乗り、私に突っ込んできた。速いな……確かにこれなら隊長格となったのも納得出来る。まぁ、私は余裕で対応できるのだが。
私は掌を強く握り、一直線に突っ込んできた隊長格の男の顔面に拳を叩き込む。しかし、その男は怯んでなかった。なるほど、もう少し強めに攻撃した方が良いのか。私はそう考えながら追撃として回し蹴りを目の前の男に喰らわせた。
「はぁ、もう少し魔力遮断の技術を身に付けた方が良いんじゃないか?」
私は背後に存在している者に勘付き、私がそう言い放つと、私の背後に居るであろう者は大きく揺れる。精神面もまだ不十分、か。私はそうため息を吐きながら身体を捻り、背後に居る者へと向く。そして魔力を掌で集めた後、その魔力に火の属性を付与して放つ。
私が火の魔力を放った対象が黒焦げになったのを確認すると、次の隊長格に向かって走り出した。
「行け!妾の息子達よ!」
黒い覆面を付けた女がそう言うと、地面から怪物達が飛び出してきた。
「なるほど、怪物関係の特異能力か。まぁ、私には関係ないがな」
私はそう呟きながら腕を、脚を、心臓を、頭を、むしり取っていく。バチュン、ブチュン、という肉が避け、血が弾け出す音が響き、私に血が掛かるのだが、それを気にせず、怪物達をどんどんと殺していく。
「よくも、よくも妾の息子達を!!!」
「だからさ、甘いんだって。君たちは」
「ガ………ァァ……ク、ソ、った、れ……」
私は地面から尖った枝を展開し、黒い覆面の女の腹を突き破る。怪物達の青色の血とは違い、人間からの赤い血が流れ、私に当たるのだが、私は気にしない。私は決してその様な事では脚を止める事などありえない。
「忘れてるだろ?私が『森や女帝』って言われてるのを」
『
私は魔力に"生命"と"循環"の属性を付与した後、魔法陣にその魔力を通して発動させようとする。とは言っても、見せない様に掌と掌で覆って、なのだが。
魔法陣に魔力を行き通らせる。0.067秒経過。
魔法陣に更に魔力を付け足し、威力の向上を図る。0.074秒経過。
魔法陣の真ん中に魔力の針を刺し、魔法を更に強化させる。0.079秒経過。
魔法の完成。0.081秒経過。
魔法発動、放出。0.100秒経過。
『森添落霞嬲』、ソレは自身の魔力を地に張り、ある程度の魔力を捧げる事で、一定時間の間、其処を自身の
つまり、自身の有利なフィールドを展開する、と言う事だ。他にも効果があるとすれば…………
「一発!」
森の魔力へと変化した魔力を纏っている私の拳が一人の隊長格に当たった時、激しく血が溢れ出した。
「過剰回復ってさ、知ってる?回復系の魔法とか、スキルを使用した時に起こり得る現象だよ。本来ならこんな事は滅多にあり得ないんだけどね。それに狙って発動するとなると、体力を見極めなくちゃならないんだけどね。しかし、其処の場合は、君の体力が満杯だから問題無いだろう?」
「死ね!死ね!死ね!死ね!」
目の前の男は死に掛けの、瀕死の身体でそう力一杯に叫ぶ。私は遺言の呪詛かと思ったが、少し可笑しいと感じた。ヤケクソじゃない、何か、狙いがあるのか?
私がそう考えていると、目の前の男から光が溢れ出て、爆発した。
「全く、何というプレゼントなんだ。此処が私のフィールドじゃ無かったら、腕欠損は確定だったな。前に花唄くんに言われた通りだったな」
『白峰さんは確かに強いと思いますよ。だけど、その強さがあるからこそ、致命的な油断が生じる。人は死にますから、例えどんな強さを持っている人だとしても』
「実感したからね。肝に添えておくとするよ。花唄くん」
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