続くよ続く番外話 色白紫苑と域外陽太
ドガァァァン!と魔法がぶつかり合い、魔力爆発が生じて、音が響く。
「相もかわらず、紫苑の魔法技術は高いよな」
「陽太も魔法技術が上がって、威力や速度が上昇してるよ」
「ハッハー!花唄さんが戦う所を見てね。コツを掴んだんだよ!」
「魔法の…………コツ?」
「そう、ピューペントーンってね」
私の転生する前からの幼馴染がそんな事を抜かす。私が何度も教えても分からなかった癖に…………花唄さんが戦う所を見て覚えたなんて。私は花唄さんに少しの……………いや、大分嫉妬を抱いてしまった。
「ん?紫苑?……………何かいつもと様子が違う気がするんだけど……………」
「別に、陽太の気のせいだと思うけど」
「ふーん、そっか」
私はこの醜い嫉妬を陽太には知られたく無いと思い、自身の言葉で覆い隠す。そして陽太は人の感情、正確には私の感情に敏感なので、私は顔を逸らし、バレない様にする。だからこそ、気づかなかったのだろう。陽太が少し不機嫌になっている事に。
「紫苑、少し失礼するよ」
「へ?…………ちょ!?陽太!?な、なんで!?」
「五月蝿い、さっさと行くよ」
陽太はそんな事を言った後、私の背中と膝を持ち上げて歩く。所謂お姫様抱っこ、という物だ。此処は私たちの所有地の訓練場だから他の人に見られる事はあり得ないけど…………それでも恥ずかしい。私は顔を赤面させながら、『うぅ』と唸り、陽太の胸へと顔を当てる。
「よ、陽太ぁ……………何でこんな事をしたの…?い、いきなりお姫様抱っこ、なんて」
「紫苑の様子が少し可笑しかったからな。やらせてもらった。それにさ……」
「それに?」
「お姫様みたいに可愛い紫苑にはピッタリでしょ?」
陽太は悪戯っ子が悪戯を成功させた時の様な、そんな笑みを見せた。私はその笑みに魅せられてしまい、私自身の体温が熱くなっている気がする。多分だけど、私の顔が更に赤くなっていると思う。絶対に阿保みたいな顔をしてる。こんな顔、陽太には見せられない。
「なぁ、紫苑」
「無理」
「いや、俺今なにも言ってないんだが」
「どうせ陽太の事だから、今の私の顔を見せてって言ってくるでしょ」
「すっご、見事に当たってるじゃん。てかさ、分かってるなら見せてくれても良いんじゃない?」
「絶対に無理ッ!!」
「俺に見せるの、嫌?」
陽太はその言葉と共に、不安そうな顔を見せた。チラリと見た、それだけなのに…………胸がチクッと痛む。
「嫌じゃない…………けど」
「だったらさ、見せれるよね?」
「あぅ…………陽太の、バカ………………分かった、良いよ」
私は陽太にやられた、と思いながら顔を上げる。陽太が今の私の顔を変な顔とか、そんな事言う訳が無いって理解はしてる。むしろ……………
「うん、めっちゃ可愛い顔してるね。俺の言葉に照れて顔を赤くしてるの、最高に可愛いよ」
「だから!それが……っ!言わない、でよ……」
「紫苑が可愛いからね、無理!」
私は陽太からの可愛い連呼でどんどん顔が赤くなっている。分かってはいた、陽太にこの顔を見せたら可愛いって、そう言うだろうなって。それでも、それでもなんだよ!
「あ、着いたね。ドアを開けるからさ、俺の首に捕まっといてくれる?」
「ん、分かった」
私は陽太の言う通りに陽太の首に腕を回し、陽太に抱きつく。
陽太は私がそうした後、背中に回してある腕を退けて、ドアノブに手を置き、開ける。『ガチャッ』と音が鳴り、入った後、陽太は自身のベットに座り込む。しかし私を決して離しはしない。
「紫苑、キスしても良い?」
「陽太はしたいの?」
「したい、めっちゃしたい」
私の目を真っ直ぐに見て、真剣な顔をしている。なのに言っている内容に合っていなくて、私は少し笑ってしまう。
「陽太がきたいのなら、良いよ」
「ありがと」
陽太は私にこう礼を言ってから私の唇と陽太自身の唇を合わせてキスをする。陽太の唇は少しカサカサしてて、なのにほんのり暖かい。そしてこの暖かさは私には丁度良い。まるで陽太が私の為に合わせてくれたのか、そう思う程に心地が良かった。
「紫苑、すっごく蕩けてるけど、気持ち良かった?」
「そんな事、一々聞かないでよ………っ!」
「そうか、気持ち良かったのか。なら嬉しいな」
「ち、違っ!私はそんな事、言ってな」
「でも、気持ちよかったのは、確かでしょ?」
陽太は私の唇を離した後、そんな事を言い放った。私は確かに気持ちよかったけど!と思っていると、いきなり陽太から唇で唇を塞がれた。私がいきなりのキスで動揺し、固まっていると、陽太が私の唇を自身の舌で舐めてきた。チロ、チロ、と舌で舐められる度に身体がビクンッと鳴る。
私の身体がビクッとなるのに、陽太は良い物を見つけたかの様な、それでいて愛おしい物を見つめている様な、そんな視線を私に向けてくる。
「本当にスベスベだよね。ありがと、俺の為にやってくれて」
「別に、陽太の為って訳じゃ……」
「違うの?」
「ちがっ…………違わないけど……」
「なら良かった」
陽太は私の唇を離してから、私の頰をスリスリ、と撫で始めた。両手を使った撫でりでは無く、私の肌をより良く感じる為に、人差し指一本で撫でていく。
そうして陽太はそう撫でていると、そんな事を言った。私はそれを認めるのが恥ずかしく思い、顔を背ける。しかし陽太の言葉に否定は出来ず、結局は認めてしまった。
陽太は私の言動に微笑ましい様な、愛おしい様なそんな笑顔を向ける。
「愛してるよ、紫苑」
本当に、陽太は太陽だよ。真っ暗な闇の私をいつも照らしてくれる。あの時も私を照らしてくれた。だから私も送るよ。
「私も、愛してるよ」
何度送ったか分からない。しかし永遠に言い続け、思い続ける事が出来る。絶対の
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