第30話 チートな学生の放課後

キーンコーンカーンコーン


そう学校のチャイムが鳴り響く。私は終わったのを確認した後、鞄を取り、優香と急いで帰る。私が特異能力に目覚めてから虐められるという事は無くなったんだけど、私に恐怖を抱かれているみたいなんだよね。復讐とかを怖がってるのかな。心配しなくてもそんな真似はしないのにね。あの子達じゃあ無いんだから。


「優香!今回は何処に行く?」

「うーん…………アイス屋にでも行ってアイスを買う?」

「良いね!それじゃあ出発!」


私と優香はそんな会話をしながら再び歩き出す。本当に久しぶりな気がするね、優香と二人きりで放課後に遊ぶのは。最近放課後にやった事と言えば、探索者協会の依頼か、花音と優香で鍛錬をしていただけだもんね。


「見えてきたよ、未亜。未亜は何を買うの?」

「ふっふっふ、そんなのねぇ、バニラ一択だよ!」

「本当に未亜ってバニラ好きだよね。それじゃあ私はチョコにしようかな」

「あ、私にもチョコアイス分けて!!私のバニラも分けてあげるから、ね?ね?」

「バニラ一択じゃなかったの?まぁ、良いけどさ」

「やった!!」


私は優香から許可を貰った事で拳を握り、いかにも嬉しいですよ、という表現をする。そんな私を見る優香は少し呆れている気がするが、多分気のせいだと思う。そんな事を考えていると、私達の番が来たので、それぞれのアイスを買う。


「本当に最高!バニラアイスって何でこう美味しいんだろう」

「すっごい恍惚とした表情を浮かべてるね。まぁ、此処のアイスが美味しいのは確かだしね」


私と優香はそんな事を言いながらアイスを『パクパク』と食べる。そう言えばジンってアイスを作れるのかな。だったら食べてみたいな、ジンが作った奴って本当に美味しいからね。


『分かった、作っておく』


ジンのその言葉にやったと思いながらも、今はこのアイスの味を堪能している。てかさ、最近はもう寒くなってきたんだけど………………アイスって寒くても美味しいのはなんでなんだろう。私はそう疑問を抱くが、脳内から即座に消し、美味しいからいっか!という思考で頭を埋める。








「本当に美味しかったねぇ」

「そうだね、最近は忙しすぎて此処のアイスを食べれなかったからね。私も花音も未亜も強くなっちゃったから」

「でもさ、だとしてと依頼が来すぎだと思うんだよね。だってさ、探索者協会ってダンジョンを探索する為のモノじゃん。だから依頼ってのは探索者の探索に邪魔にならない程度の筈なんどけだ………」

「まぁ、来すぎだよね。あれじゃ無い?白峰さんに嫌がらせをしたいからやってるんじゃ無い?ほら、私達って白峰さんのお気に入りじゃん」

「お気に入り(笑)、だけどね」


私と優香がそんな会話をしていると、遠くの方面から『ドガーーーン!!』という爆発音が聞こえた。


「これさ、またかな」

「私は絶対にまただと思うな」


私と優香はため息を吐いた後、全力で向かっている。所々に小鬼が居るのだが、私は刀で、優香はヤリで切り裂き、貫いていく。これ、どんな怪物が誕生したのやら。いやまぁ、鬼系怪物のリーダー種である事は間違い無いんだろうけどさ。


「これさ、多い気がするんだけど、私の気のせいかな。未亜」

「そうだね、気のせいじゃ無いと思う。これは単なる沸きにしては多すぎるし、少し可笑しい。本来怪物ってさ、殺されたら魔力が一定時間、其処に留まるんだよ。だけどこの小鬼とかはそうじゃ無い。即座に魔力が霧散している」

「なるほど、だから気のせいじゃないと。てかさ、これってもしかして召喚士系の怪物が居る可能性無い?」

「どうだろうね、鬼系の召喚士は確認されていないけど………………十分ありえるね。怪物達に絶対なんて言葉は存在していないのだから」


私は優香とそんな会話をしながら魔法を展開する。しかし魔法陣を展開した魔法では無く、魔法陣を展開しないノーモーション魔法だ。最初に私が思っていた数より断然多い、このままだと周囲に更に被害が出るからね、仕方ないよね。


「優香、私魔法を撃つ!!」

「了解、それじゃあギリギリなまでに引きつければ良い?」

「いや、すぐに撃てるから必要無い!そこから退いてくれれば!」

「分かった」


私は優香が引いたのを確認した後、魔法を発動する。


魔戒の天黒ブラック・コーション


私が魔法を発動したことにより、紫黒色の光線が小鬼、怪物達に迫っている。怪物達は逃げようとするのだが、私の魔法から逃げられる事はなく、ぶつかり、消え去っていく。それが何度も何度も続き、此処ら一帯に居る怪物達は消え去った。


私がまずは終わり、と思っていると、上から何十mもある巨鬼が出てきた。何この鬼、私が知ってる限りじゃ居なかったと思うんだけど。私がそうこの巨鬼の事を観察していると、巨鬼はいきなり私に向かって拳を振るってきた。しかしこの巨兄の拳はパワーこそあるが、スピードは全然無いから余裕で避けられる。


「未亜、その鬼のこと知ってる?」

「分かんない、私が読んできた資料の中には存在していなかった。多分だけど、未確認の鬼系怪物か、探索者協会が隠蔽しているかのどちらかだと思う」

「隠蔽かぁ…………………あの時は本当に大変だったよね」

「それには同意をするけど……さ!今は目の前の敵に集中しようよ!」


優香はあの時の事を思い出し、私はそれに同意をしながら今は敵に集中するべきと咎め、巨鬼にむかって足蹴りを喰らわせる。やっぱり硬いね、この巨鬼の装甲。まぁ、あの偽竜ジン程じゃ無いけど。私はそう考えながら拳で更に追撃をする。


巨鬼は一撃も与えられず、自身だけが攻撃を受け、ダメージを喰らっているのに不満を思ってのか、怒りの咆哮をあげる。そしてその後、巨鬼は口に魔力を集め、魔砲を発動しようとするが……………


「分かっててさせる馬鹿は居ないでしょ」


優香が自身の槍の柄で開いていた巨鬼の口を閉じさせ、口内で爆発を生じさせる。『ドガーーン!』という爆発音が聞こえたが、巨鬼の口内なので問題は起きていない。









_______________________

□魔戒の天黒

ジンの『戒玉弾』を元に作り上げたオリジナル魔法。この魔法の特徴は魔力がどれだけ邪悪であるかで威力が決まる。つまり魔力が邪悪である花唄未亜には割とピッタリな魔法である。まぁ、ジンの方が効果が高いのだけれど。

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