第19話 講義参加者とダンジョン

「講師の花唄さんですね、よろしくお願いします!私は色白紫苑です!」

「俺は域外陽太、得意魔法は光陽魔法です」


私の班で興味を覚えたのはこの二人だった。多分だけどさ、この二人、持ってる能力は特異能力やスキル、魔法だけじゃあ無いでしょ。たまにいるんだよね、生まれながらに特異能力とは別の能力を持っている人って。なんの力を持っているんだろ、気になるね。私がそうワクワクしていると、ジンから思念が飛んできた。


『この二人がどんな能力を持っているのか気になるのか?』


え、うん、そうだけど。もしかしてジンってその能力のことについて知ってるの!?いやまぁ、ジンって私とは比べ物にならない程の年を生きてるからね、それぐらい、当たり前なのかな?それよりさ!この二人が持っている能力ってどんな感じなの?


特典オールギフト、高位存在や概念に魅入られたりする事で獲得する能力だな。特典オールギフトと言うものは、最底辺でも並の特異能力保持者よりも強い。何故なのか、それは魔力操作のレベルが極端に高いからだ。特典オールギフトを使うには高レベルな魔力操作が必要だからな。獲得した特典オールギフトを使う為に持っているのだろう。そしてこれは、生まれながらの能力だ。そして特典オールギフト所持者は同時に特異能力も持てるとかいうチート仕様だ』


わぁお、本当にチート仕様だね。だからなのか、私の威圧に耐えていたのは。魔力操作が上手いってことはさ、魔力の耐性が結構高いってことだからね。あれ?でもさ、紫苑は青ざめてたよ?確かに他の人よりかはマシだったけど。


『色白紫苑はマスターの威圧にビビってたんじゃねえよ。俺と同じ、マスターと会話が出来るやつが俺とマスターの情報を教えてたんだろ。ちなみにだが、域外陽太も同じみたいだぞ』


両方ともかぁ……………私ってばこの二人の前を歩かなきゃいけないの?冗談キツいって、それに特典オールギフト持ちのこのチート二人組にダンジョンの鬼畜さを伝えるんでしょ?無理じゃん、だいたいこの二人で何とかなるくない?ちょっと特典オールギフト持ちの事を羨ましく感じちゃうな。


『まぁ、何とかなるだろうな。1800層くらいの下層になると、危機に瀕すると思うが、心王ノ超越ハート・リミット・ブレイクが出来れば突破出来ると思うぞ。てかさ、マスターは特典オールギフト所持者のことを羨ましいとか言ってるけどさ、マスターも特典オールギフト所持者だからな?』


ふーん、やっぱり突破出来るよねぇ……………ん?………はぁ!?いやいやいやいやいや!!私、そんなの聞いてないんだけど!?というかさっき言ったよね!?高位存在や概念に魅入られて獲得できる能力だって言ったよね!?私っていつ魅入られたの!?というか、ジンがそれを許可というか、許容したのが驚きなんだけど!?


『はぁ、俺、どんだけ器が狭いと思われてんだよ。それにその通りなのも腹がたつし…………言ってなかったっけ?俺って能力だけどさ、高位存在でもあるんだよね』


ん?…………なるほど、なるほど?………いやぁ、ジンが長生きしてるとは知ってたけどさ、まさか高位存在に至ってるとは思いもしなかったよ。もしかしてジンって神になってたりするの?


『やめろ、それは冗談でも俺には言うな。いや、現探索者協会会長とその能力にも言うな。俺たちは"神"という言葉を嫌悪している』


私は過去に神関係で酷い目にあったのだろうか、なんで現探索者協会会長とその能力に面識があるの?という考えを持っていたが、ジンにだって聞かれたくは無いこともあるだろうし、と思い、その考えを霧に返した。私がそんな考えをしていると、私の首に向かって矢が放たれた。


「花唄さん!危ない!」

「分かってる、それぐらい君に言われなくとも分かっているよ」


私はそんな事を域外陽太君に言ってから、私の首に向かってきている矢を掴む。そしてその矢に付着している魔力を『魔力探知』で捜索していると、私に向かって矢を放った怪物を探し当てれたので、その怪物に向かって魔法を展開する。いつもみたいに魔法陣を使わずにの、ノーモーション魔法でも良いのだが、皆が見ているので、魔法陣を展開して放つことにした。


「追え」


絶対的なる血の弾丸アブソリュート・ブラット・ブレット


私がその魔法を発動させると、極小のサイズの玉が現れ、途轍もない速さで飛んでいった。その極小の玉は、私に矢を放った怪物を貫いてから、近くに居た怪物達もついでに貫いた。







す、すげえ、アレが花唄さんの実力かよ。あんな小さな魔法なのに…………………魔力がえげつねえ程込められてやがる。講義会場の時に魔力威圧をした時よりも更に上の魔力だ。あの時でも強大だったのに…………………加減をしていたっていう事か。


『陽太、気づいてる?』


俺が花唄さんの実力に戦慄していると、紫苑から思念が飛んできた。確かに魔法は凄かったけど………どうゆう事だ?


『どういう意味だ?あの魔法に工夫でもされてあるのか?』

『はぁ、それだから何時迄も自分自身の能力に魔法初心者って馬鹿にされるんだよ』

『はぁ!?例え異世界に転生する前からの幼馴染だからと言っても、言って良いことと悪いことがあるのが知らないのか?泣くぞ、俺泣くぞ』

『突然泣いても変人扱いされるだけだから辞めときな。本当に陽太が気づいていないみたいだから言っとくけどさ、花唄さん、不静動魔法を使ってたよ』

『は?は?はぁぁぁ!?いやいやいやいや、不静動魔法って魔法陣も使わずに、動きも全くせずに、魔力だけを動かして発動する高等技術だろ!?だけど花唄さんは魔法陣を使ってたじゃんか!』

『はぁ、不静動魔法に気づいていなかったから、もしや、とは思ったけどね、そこまでだったとは。花唄さんが魔法を発動した時の魔法陣、魔法陣の働きをしていなかった。つまり形だけ見れば魔法陣魔法で、内容をじっくり見ると、不静動魔法だね』


え、えぇ、マジかよ。不静動魔法を使うことでさえ、高等技術なのに……………魔法陣を展開してソレの偽装もやるなんて…………バカ強えじゃねえか。






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□不静動魔法

別名ノーモーション魔法とも言われている(しかし言っているのは極一部だそうな。ちなみにジンは不静動魔法と呼んでいる)


特典オールギフト

僕たちは特典オールギフトの真実を知る為に作者空間にジンを呼び出した。


ジン『知らん、マジで分からん』


え、いやいやいや、そんな事は無いでしょ。真実を言いなさいよ。


ジン『だってあれ、俺たちが[あげよ]って思ってあげれるやつじゃ無いからマジで分からんのよ』


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