第16話 夢での初邂逅
えっと………………此処って何処?確か家に帰って寝たはずなんだけどな。何で私の家以外の屋内に居るんだろう。私はそんな事を思いながら廊下を歩く。綺麗なんだけどさ、全くと言っていいほどに誰も居ないよね。仕方ない、スキルの『生命感知』を使うか。
私は魔力を張りめぐらせ、『生命感知』を発動すると、此処の奥に反応が確認出来た。そして私はその反応に早歩きで向かう。しっかしさぁ、コレは何でこんなに大きいのかなぁ。これはもう屋敷じゃんか。もしかして屋敷だったりするのかな?私がそんな事を考えていると、反応があった部屋に着いたので、扉を開ける。
私が扉を開けた先には紫色の髪をした青年が其処には居た。その青年は私が扉を開いたのに気付いたのか、私の方向に身体を向かわせる。しばらく驚愕な表情を浮かべてから次の表情を、笑顔を浮かべて私にこう言った。
「ようこそ、
「あ、えぇと、どうしようかな」
いや本当にどうしようかな。私ってば紅茶も珈琲も飲めないんだよね。うーん、でも……………初対面の人に『幼稚だなぁ』なんて思われたくないんだよねぇ。
「ふふっ、もしかして珈琲とか紅茶って飲めない?他のもあるよ。リンゴジュースとか水、ホットミルクとかも」
「ホットミルクでお願いします!!!!!」
「ホットミルクね、りょーかい。準備するから待っててね」
目の前の青年はそう言うと、魔法陣を展開した後にコップや牛乳、砂糖を取り出した。この魔法………たくさん見てきたとはいえ凄い……っ!分類的には亜空間倉庫と似ているというか、同じなんだけど………………格が違いすぎる。それに練度も高いし、並大抵の年度じゃない事も確かだね。少なくとも何千年は確実と言った所だろうか。
「よし、ホットミルク出来たよ。おやつとかは何にする?好きなのを選んで良いよ」
「あ、じゃあケーキでお願いします。………あ、このホットミルク、すごく美味しい。すっごく私好みの味だ」
「そう、それなら良かったよ。たくさん見てきたとは言え、自分でするとなると結構違ってくるからね。そんじゃショートケーキどばーん」
「わぁぁ!こんなに良いんですか!?見た目も完璧だし、絶対に美味しいやつだよ、コレ!あ、でも、フトッチャウカモ」
「んふふ、その心配をする必要は無いよ。此処は夢の中だからね、存分に食べて楽しむと良いよ」
「そうなんですか!?それじゃあ遠慮なく食べさせてもらいます!」
「ふー、満足ですよ。すごい美味しかったですよ。私はこんなに美味しいものは食べたことがありませんよ!?絶対にバチが当たっちゃいますよ」
「あはは、そんなに喜んでもらったなら良かったよ。それじゃあ俺の自己紹介をしようか。俺は君の能力だよ、魔法とかサポートしてるでしょ?」
「え?えええええええ!?の、のののの、能力って意識があったんですか!?そうなんですか、手伝ってくれてたんですか。それはなんと言いますか、ありがとうございます」
「うーん、やっぱり変な子だね。俺は君の能力だよ?そんな感謝とか必要ないのにね。だけど………分かった、その感謝を受け取っておくよ」
私は私の能力の言葉に少しホッとして息を吐いた。私は本当に変な子、なのかもしれない。私の能力言う通り、自身の能力とかに感謝とか必要ないよね。だけど良いや…………この人の嬉しそうな顔を見れたのだから。
「そう言えばなんですけど」
「あ、ちょっとタンマ。マスターが俺に向かって敬語とかをする必要は無いよ?俺はマスターの能力だからそんな必要とか無いから。タメで喋っていいよ」
「はい、分かりました。次はタメで喋るよ!それで話を戻すんだけどさ、能力って名前あるの?」
「ん?まぁ、前の主人に付けられた名前とかならあるんけど、マスターに移った時に忘れちゃった。だから無いと言っても良いかな」
「それじゃあ私が能力に名前をつけても良い?」
「え、えぇ?いやまぁ、良いけど。何で俺に名前を付けたがるのさ」
「だって私と能力は相棒だよ?なんか私が名前を付けた方が絆がありそうでしょ?それじゃあ許可を貰ったことだから名前をつけるね。元から名前は考えてあったんだよ。パッと降ってきたのさ、天啓的な?あ、そうそう、能力の名前は『ジン』だよ!」
本当に……………予想外だ。今日だけで予想外の連続すぎる。マスターが俺の領域に入ってきたと思ったら、感謝をして、その次には彼奴と同じ名前をつけてもらった。本当に想像出来ないよ、ていうかコレを予想できる奴なんて居ないと言ってもいいでしょ。
俺はそう考えながら瞳を片手で覆い尽くす。俺がそうしていると、俺の魂に変化が生じた。俺の魂が心臓の鼓動みたいに『ドクン、ドクン』と鳴り始めている。そして魔力、邪力、他の力がどんどんと跳ね上がる。そして更に俺とマスターの魂の繋がりがより強く、より固く変化していっているのを感じる。
そして数秒後、俺の魂の変化が終了すると、マスターの後ろに扉が出現した。む、夢が覚める時間が来たということなのか。もっとマスターと話していたかったけど……………しゃあなしや、見送るとしよう。
「夢界の扉が出現したか。その扉を潜ると、現実世界へと戻れる。俺と会いたくば、夢を見るといい、そうしたらまた俺と会える」
「そうなの、分かった!それじゃあね、ジン!」
マスターがその扉を潜ると、その扉は自動的に閉まり、この部屋から消えてなくなった。
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□ジンはどれくらい現世を見れるのか
これに関してはいつでも見れる。だから未亜の好きな食べ物や飲み物も当然知っている。それなのにどうして聞いたのか、ということなのだが、もちろん知っている。態と、つまりイジワルで聞いたのだ。そしてそれすらも様になっているイケメン具合、本当に羨まs………凄まじい。
補足:ジン曰く、未亜にイジワルするのは楽しかったそうな
□屋敷
前に紹介した色々な設備がある心象の屋敷である。ちなみに色々な設備は色々であり、心象本人であるジンも正確な設備は把握していない。
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