第14話 アシッド・ナーガ(偽)VS鬼才の毒使い 2

私は目の前の毒蛇が困惑している事に同調しつつ、毒蛇に向かって構えを取る。私がそうすると、毒蛇も再び戦闘体制に入ったのか、闘気が私の身体中から感じる。しかし本当にやばいね、先刻の毒もそうだ、あんなのは並大抵の毒対抗薬じゃ対応が出来ない。耐えられるのは私みたいな規格外の毒耐性を持っている人だけってことか。


はぁ、やっぱりこの毒蛇、二階層に存在して良い階層主じゃ無いでしょ。魔力に魔法、身体硬度に並大抵の探索者では毒死する猛毒、どれを取っても脅威になり得るね。私はそうため息を吐きながら考えていると、毒蛇が私に向かって魔法を展開してきた。その魔法数は先刻の二つなど塵かと思える程の魔法数だった。その数は、ぱっと数えれるだけでも300は超えているであろう。


うーん、これはどうしよっか。全部壊して対処しようか…………………無理だね。50とかそこら辺なら何とかなったかもしれないけどさ、この数は無理だよ。それじゃあ出来るのは壊して、他は避ける。これで良し!私はそう考えを纏めてから毒蛇に向かって走っていく。私が一歩進むごとに魔法が降ってくる。


私が毒蛇の魔法をどんなに避けても、どんどん魔法が作り出され、無限とも思える程降ってくる。私は闇、光、毒、火、水、土、風……………etcの魔法を避けていくと、数十mの領域に入ったので、魔力で全身を強化させ、毒蛇の方向に走り抜けていく。私が毒蛇に近づけば近づく程、魔法の攻撃がどんどんと激しくなっている。近づかさせたく無いという事ね。


あの毒蛇の身体には硬い鱗で覆われている。しかし私の物理攻撃はその硬い鱗すらも貫いている。確かにそれは近づかさせたく無いか。私だってそうするよ。私がそう考えながら私は拳を構えながら走る。私が構えながら走っているのを止められないと悟ったのか、全身、というよりかは鱗に魔力を巡らせて硬化をしている。


やっぱり大きいね、あの毒蛇の魔力量。アソコまで大きいのは怪物だと見た事がない。そしてその魔力を限界出力魔力量まで硬化に注いでいる。先刻蹴った時とは比べ物にならない程に固くなっている事だろう。だから私は考えた、あの硬い鱗を更に魔力で硬化させた防御を突破する方法を。


そして思いついた、あの鱗を突破する方法を。そしてその時、私と毒蛇の視線が合った。私は毒蛇と目が合った瞬間、ニヤリと笑いながら思いっきり毒蛇の顔に殴る。


「魔力で硬化しているのなら!素の防御力を貫通する力と魔力硬化以上の魔力強化で殴れば良い!」


私が毒蛇に向かってそう言い放って殴る。今度の攻撃は先刻の攻撃よりも比にならない程吹っ飛んだ。そしてそれだけじゃなく、魔力の衝突によって生じた圧が周囲に襲いかかっている。私は『はぁ、はぁ』と荒い息をしながら、毒蛇を睨みつける。やばいね、私の魔力量が多いからって調子に乗りすぎたかも。


私が毒蛇を睨みつけていると、毒蛇の方向から『ボキッ!バキッ!ゴキッ!』という音が鳴り響く。何なんだ、この音は。私はそんな疑問を抱きながら警戒を高めていく。そしてそれと同時に魔力を練り上げる。練度を、出力を高める。数秒後、毒蛇の『グガァッ!!』という鳴き声を鳴らしながら煙を吹き飛ばす。


そして煙から飛び出た毒蛇の姿は身体中から茎みたいな物が飛び出ており、その先端には花が閉じた様な形をしている。なんて威圧感、先程とは比べ物にならない程の圧だ。それに魔力量も上がっている。魔力は成長し、鍛え続ける限り、上がり続ける。だけどアソコまで突然の魔力上昇は……………進化だね。全く、面倒な事になってしまった。


何故だろうか、強者との戦闘、怪物の進化、此処まで面倒なのが揃っているのに………………私は楽しくて堪らない。心が躍る、血が沸る。あぁ、私は此処迄戦闘狂だったのだろうか。いや、今はそんな事などどうでも良い。今はただ、ただこの感情に酔いしれたい。私が感情を踊らせていると、急に魔力量の上昇を感じ取った。


私は『不思議』という疑問が頭をよぎったが、すぐに脳内からそれが消える。そんな事はこの戦いが終わってから考えれば良い。私はそんな事を思いながら毒蛇に向かって笑っていると、毒蛇は身体から生えている閉じた花を開花させる。毒蛇が花を開花させると、紫色の物体が溜まり、私に向かって放射かれる。


「私には毒が効かないって何度感じたら分かるのかな…………いや、違う………ッ!」


私はその放射された毒を迎撃しようとしたが、瞬時にその毒の性質を理解し、咄嗟に避ける。私が元いた場所には、毒によって大きく抉られた地面がそこにはあった。やばいなぁ、毒の威力が大きく変わってる。多分だけどさ、コレを喰らったら大きく溶けるだけでは無く、身体を侵食して死に至らせるよね。正に猛毒って訳か。


強い毒への抗体を持っている私でさえ死にゆくのを遅らせる事しか出来ない。本当にさぁ、進化したとはいえ、生物としての格がいきなり上がりすぎじゃ無い?私はそんな事を考えながらどんどんと猛毒を放射してくる毒蛇の猛攻を避けている。これは……本格的に不味いね。さっきから防戦一方にしかなってないや。


とっておきの強大な魔法を撃つか。その魔法は莫大な魔力量と魔力操作技術が必要となる。私はこの魔法を行使出来た試しが存在していない。だけど今なら、莫大な魔力量と操作技術を手に入れた私なら、この魔法を使える筈だ。私は動きながら詠唱を開始する。


「夕日に染まった赤い薔薇、海に染まった青い薔薇、夜に染まった黒い薔薇、光に染まった白い薔薇、月に染まった黄色い薔薇、生命に染まった緑の薔薇、大地に染まった茶色の薔薇、透明に染まった無色の薔薇。絶対的なる七原色と厄災の無色が揃う。それではこの八の薔薇の前で踊り狂おう。悲劇喜劇の始まりだ」





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□魔力収束光線

ただ魔力を一点に収束し、放つだけの魔法。しかしそれだけでも結構な高等技術であり、出来るのは割と少ない。4割くらいだと思われる。


□■の時代

この作品名が『能力には意思がある』だが、その時代の能力には意思が存在していなかった。意思が現れる様になったのは、旧時代からで、最初に能力になったのは■■イッチなどの■の時代から生きる古株である。ちなみにフュースは■の時代には生きてはいない。


補足:その古株連中は全員が英雄だったらしい。

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