第8話 探索者協会支部長
私と優香が泣き合い、抱き合ってから結構な時間が経った。此処迄泣いたのは久しぶりだ。こんなに泣いたのは何年前とかそこら辺だった筈。そう思いながら私は瞳にある涙を拭いていると、私の病室から人がやってきた。やってきた人は私の記憶の中にあるのだが、どうにも思い出す事が出来ない。何だったけ?そう思い、首を傾げていると優香から驚きの言葉がやってきた。
「もしかして未亜ってあの人の事を覚えてない?此処では結構有名だよ?」
「う〜ん?ごめん、優香。あの人の事は全くと言って良いほど思い出せないや」
「本当に思い出せないんだ……………………あの人は
え?………………………ああ!!そうだった、何処かで見た事があるなと思ってたらTVでだよ!小規模と言えども、一人で
白峰さんの事をTVで見たのが結構前だから忘れていたという線もあるっちゃあると思うけど。私がそんな事を考えていると白峰さんから声を掛けられた。
「ふふ、目の前で凄いと言われると流石に照れるな。話をしても良いかな?」
「あ、はい。構いませんよ」
「ふむ、ならば話させてもらう。花唄未亜、君に感謝を伝えよう。君が倒した怪物は毒妖魔と言われていてな、その怪物はとても強力な毒を撒き散らすのだ。その怪物の魔力が尽きるまでな。そしてその毒によって何人もの探索者が葬られてきた。それを君がこれ以上の犠牲を出す前に討伐してくれた。そしてこれは後から知った事なのだが、毒妖魔は己が殺した魔力を持っている生物の魔力を吸収するという性質があったみたいだ。あのまま成長していたら
私は白峰さんのその言葉に驚きで硬直してしまった。だけどこれは仕方なかったと思う。だってSランクは人類の危機とも言われるほどの強さを持った怪物の称号なのだから。
「それで何だが、君には探索者になって欲しい。身勝手な事を言っている自覚はある。君が辛い時に助けてあげれなかった。なのに私達はそんな君に力を貸して欲しいと言っているのだからな」
「別に良いですよ」
「断ってくれても………………え?良いのか!?」
「確かに私を苦しめたのは特異能力です。一時期は探索者というものを恨みました。だけど私が救われたのも探索者なんです。だから………なります、探索者にならせてください!」
「私からもお願いします!未亜の事を探索者にしてください!」
「ふふ、お願いしているのは私のはずなんだがな。許可する。そして歓迎しようか、私達探索者の新たなる戦友よ!」
私と優香が白峰さんに真剣な顔で頼むと、白峰さんは快く許可を出してくれた。というか白峰さんが私に探索者になって欲しいって言ってたんだっけ?うーん………………………まあいっか。私がそんな事を考えていると白峰さんから魔法の本が渡された。魔法陣や魔力の流し方が載ってあるらしい。
私は白峰さんと優香が退出したらその魔法の本を読み始めた。私はあの怪物戦で魔法を使っていた、使っていたみたいなんだけど今の私では使えそうにない。正確には能力を通さなくては、だけどね。本当に私の能力ってどんな能力なんだろう。白峰さんは主人の私が探ってみたら分かるって言ってたけど、名前すらも分からないし。
まだまだ私の能力の理解度や練度、力量が足りないって事なのかな?私はそう悩みながら本の表紙をめくり、1ページ目を開く。其処には一つの魔法陣とその魔法の詳細が載っていた。しかしどう発動させるのかは書いていなかった。書いてたには書いてたんだよ?魔法陣を展開させた後に魔力を均等に分けるって。
でもそれだけじゃないんだろうなって、詳細も読んだんだよ?でも其処に書いてあったのはどういう魔法か、それだけだった。いや、まぁね?それも結構大事なんだろうなって思うよ?だけど違うじゃん。魔法の正確な発動方法が書いてあるって思うでしょ。それになんかピンと来ないんだよね。
私の能力が発動した最初の弱めの魔法と最後に発動した強めの魔法、何故か違う気がしたんだよね。魔法陣に均等に分けるだけ、本当にそれだけなのかな?うーん……………………分かんないや!そもそも魔力初心者の私がこんな事を考えても答えなんて出るわけが無いし。もうちょっと魔力を理解してから考えよ。
魔力の理解…………少しだけ魔法を発動してみようかな?いや、違うからね?魔力への理解を高めてあの結論を早く出したいだけだから。私がただ魔法を使いたいだけってわけじゃないんだよ?私はそんな事を考えながら掌の上に魔法陣を展開する。おぉ、意外と上手くできたね。確か魔法の名前は………。
『
私がそれを発動すると掌に小さな火が出現した。てか思ったんだんだけど、この魔法って病室で使って良い魔法じゃないよね?…………………今すぐ消さなきゃ!私がそう思ってからすぐに火を出現させた掌で握り、消した。ふぅ、これで消えるような魔法で良かったよ。
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