第3話 主人の初戦闘

はぁ、全く、主人は無茶しすぎなんだよ。主人は昔からだ。大切なヤツのために無茶をして、それで感情が爆発する。あの時は俺は何にも出来なかった。けど今なら主人を助ける事が出来る。俺はそう思いながら主人の魔力纏いをサポートして魔力操作の技術を上げる。


俺はこれでもサポート兼戦闘型の能力なんだ。だから安心して戦って良いよ、主人。俺が主人の事を全力でサポートをしてあげるから。俺はそう思っていると主人と敵対し、この惨状を引き起こした怪物は主人に向かって襲いかかってくる。主人はその向かってから拳を弾いた後に蹴りで吹き飛ばす。


それから俺は更に追撃を加える為に魔法陣を展開する。そして展開してから0.8秒後に演算が完了し、魔法を発動する。俺の魔法は怪物に当たっただけでダメージはほとんど無かった。他の魔法もどんどん怪物に当たっていくのだが、無問題、そんな様子だった。


だけど今はそれで良い!これは主人の次の一手のための布石だ!怪物は俺の魔法をウザそうに消し去ると主人はその隙だらけの怪物の目の前にやってきて拳を振るう。俺は拳が触れる前に主人の拳の魔力濃度を上昇させ、圧縮させる。そして次の瞬間、強烈な魔力打撃攻撃が怪物を襲う。


怪物は吹き飛ばされながら単純な魔法、魔力収束砲を放つ。主人は避ける気……………………無いよな。どんだけ俺の事を信用してんだよ。主人にとってはさっき認識したばっかりなんだぞ?だけど悪くないね。主人の相棒なんだ、その信用に応えられないなんて事はあり得ない!


俺はそう思いながら防御結界魔法を使用する。防御結界魔法を発動した直後に防御結界魔法と魔力収束砲がぶつかり合う。くっ!結構な重さじゃんか。この一撃で仕留める為に身体強化をしていた時とは比べ物にならないくらいの魔力濃度をしていた。ミスったなぁ、これなら魔力を吸収するのをやれば良かったな。


まぁ、だからどうしたって話だけど。あの魔力収束砲とこの防御結界魔法が合ってない?だったら今すぐに改造すれば済む話だろうが。ちょうど気分が乗ってきた所なんだ。此処で終わらせる訳にはいかないし、此処で主人を死なす訳にはいかないからね。

だけど今の俺では少しキツイから怪物の魔力を拝借させてもらおうか。


俺はそう考えながら怪物の魔力収束砲から溢れでている魔力を利用して魔法陣の内側、魔法式を改変する。カチ、カチ、と少しずつ魔法式の歯車が今の魔法式から外れかけている。ははっ、久方ぶりだよ、こんな緊張。俺はそんな軽そうな事を思いながら頬から水が落ちていく。…………………今!俺がそう思って魔法式を大きく改変し、魔法式の歯車がガチャリと大きく音が鳴った。


魔法式は改変し終わると怪物の魔力収束砲は俺の防御結界魔法に吸い込まれた。よっしゃ、無事に改変終了できたな。俺は心の中でふぅ、と安堵の息を吐きながら主人に纏わせている魔力操作のギアを上げる。あれで全ての魔力を出し切っていたら良いけど………………………そんな甘い話は無いよな。


俺と主人の見つめる先には自分の魔力収束砲を吸い込まれて今にも怒り散らし、暴れ出しそうな怪物がグルルルと威嚇をしながら其処に立っていた。まぁ、アレで全部出し尽くす様な馬鹿じゃないか。俺がそう思っていると怪物は叫びながらドラミングをし始めた。ゴリラのドラミングとは違い、戦闘の意思がこれでもかと思うぐらいに実感できる。


主人、あの程度で引くわけないよな?俺がそう主人に思念を送ると主人は頬を叩いてから覚悟を決めた様な瞳で彼奴を見る。そうだ、覚悟を決めろ、思いを燃やせ、そうすれば主人は更に俺の力を引き出せる。俺はその思念を飛ばさずに俺の心の中で留めておく。これは今の主人に重すぎるしな。俺はその代わりに『来るぞ、構えろ』という思念を送った。


俺が思念を送ったお陰なのか主人は殴りにきた怪物の攻撃を受け流してから怪物の腹に拳による打撃を叩き込む。殴られる迄に余裕そうな顔をしていた怪物は殴られた瞬間に苦痛で顔を歪めた。やっぱりか、お前、大して痛みを味わった事ないだろ?大体魔力で痛覚を封じたり、生まれながらの装甲でダメージを喰らわなかったんだろ?


だけど俺の能力はそういうのを無効化する効果があるんだ。まぁ一定の、が付くけどな。俺はそう思いながら俺の能力の一つである邪力を使って主人の打撃を再現する。邪力は攻撃貫通するだけじゃなくて攻撃した対象の身体を邪気で蝕むというおまけ付きだ。だからこの力はそう簡単に使えないんだよなぁ。俺がそう考えていると主人が魔法を発動させる。


俺はその魔力操作サポートをしようとして…………気づいた。主人の魔力操作、この短時間で操作技術が格段に上がってる。全く、どんな成長能力してんだよ。こんな成長能力、あんのバカ英雄以来だな。俺はそう思いながら主人に俺の固有魔法を頭に送る。コレを使いこなせたのはあのバカ英雄以外に存在しない………………けれど今の主人になら使いこなせるだろ?


詠唱と演算は俺に任せろ。だから思う存分に魔法をぶちかませ。俺がサポートしてやるから己の怒りも恨みも全てを込めろ。俺はそう思念を送りながら詠唱を開始する。


『我は■■、我は人、あらゆる憎しみを背負った忌むべき対象。我は、我らは怒る。貴様らが理不尽なまでに我らを追い詰めたのだから。今こそ決戦の火蓋が落とされる。古の誓いを果たすべく、今我らは動き出す。さぁ、悲劇の始まりだ』


邪人憎悪乃悲劇夜悪契約譚イーヴィル・ヘイトリッド


『第一章:世界の禁忌ワールド・フォビドゥン


俺がそれを発動させると深淵とも言える程の禍々しい渦が降臨し、強大な魔力が収束されていく。怪物の魔力収束砲とは比べ物にならないほどのモノが。それが放出された時、怪物も防御する為に防御結界魔法を展開したのだが、それは残念ながら不正解だ。怪物の防御結界魔法は触れ合った瞬間に一瞬で崩れ去り、怪物にも到達し、直撃した。怪物の生体反応の消失を確認。よっしゃ!主人の初戦闘勝利じゃぁ!!!

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