第2話 魂の相棒

80:名無しの能力

でもマジでイッチの主人との会話ってどうするんや?


81:邪悪存在

マジでそれなー、本当にどうしよか


82:名無しの能力

本当に案ないからどうしようかね


83:邪悪存在

本当にどうしようかね

ちょっと主人?何をやろうとしてるのかな?ちょっ!?馬鹿!無理矢理俺を利用するなんて死ぬ気!?今すぐ辞めろ!確かにその子は主人にとって大事な子なのかもしれないけどさぁ!あぁもう!しょうがないなぁ!こうなったら俺の全力を使って主人の友人を助けるのを手伝うよ!


84:名無しの能力

ちょっとイッチ!?


85:邪悪存在

すまん!相談に乗ってくれてたのに

もう抜ける!


ー邪悪存在が退出しましたー


86:名無しの能力

掲示板はリアルな思考を文字として持ってくる

つまりイッチの主人に何か起こったのか


_______________


私は花唄未亜、ただの中学2年生だ。特異能力も持っていない普通の中学生だ。もしアレがあったら虐めとかにならずに済んだのに。私はそう思いながらイジメっ子達に付けられた打撲痕を抑えてから家に帰る準備をする。準備をしようと鞄に荷物を入れていると先程殴られた打撲痕から激痛が襲ってくる。


痛い、痛いよお母さん。もし私が強かったら、もし弱くても特異能力があったらこんなに酷く虐められなかったのに。私はそんなマイナス思考を抑える様に頭を振り払う。私がそんな事を考えていると私の唯一の親友である神道優香が話しかけてきた。


「ちょっと未亜!?その打撲痕なに!?もしかしてアイツらにまた虐められたの?本当に懲りないわね、自分がモテないからっていう妬みのくせにね」

「やめてよ、もう良いから」

「やめてよって言われても未亜はこんなに苦しんでるじゃない!それを見過ごせっての!?」

「…………さいな、うるさいな!恵まれた特異能力を持っている癖に私の何がわかるって言うの!私が苦しんでても何も分からないくせに!」


私はそう優香に言い放ってから急いで荷物を鞄に詰めてから教室を走り去って行く。…………………私は一体何をやってるのよ!優香は私の事を心配してくれたんでしょ?それなのにあんな突き放す事を言うなんて……………最低以外何があるっていうの!?私はそう思いながら鞄の背負う所を握り締めながら思考がマイナス思考に支配されていると『ドガァァン!』という音がこの街を一瞬支配した。


もしかして暴れ回る怪物モンスターが出たとでも言うの!?けどアソコまで被害を出しているんだから並大抵の怪物じゃない。今からにでも逃げなくちゃ、逃げなくちゃ………………そう思っているのに足が一歩と動きはしない。何で?どうして?私はそう思いながら瞳に溜まった水を落としながら考える。


そして私はある答えに辿り着いた。あの爆発の近くには優香の家が近い。私は優香の事が心配なんだ。いや、違うか、私は優香を心配して優香との関係を戻したいだけなんだ。どちらにしても最低だよ。私は優香にあんな事を言い放った後なんだよ!?私はそんな思考に支配されながらも足は爆発の地点に駆けて行く。


私が辿り着いた爆発地点はとても焦げ臭くてボロボロで綺麗な街だった跡は微塵も残っていない。一刻も早く此処から去るべき、私の勘と思考はそんな言葉を出しながらも街の散策を続ける。そうすると優香のことを見つける事が出来た。この惨状を発生させた怪物にボロボロにされている姿を。


「優香!」


私がそう叫ぶとこの惨状を引き起こしたであろう怪物は私に向かって優香を投げ捨てた後に私に向かってやってくる。だけど今の私にはそんな事は気にならない。今の私には優香の事で思考の大半を占めている。私が『優香!』と叫んでいると、優香は絞り出した様な声で『ごめんなさい』と言った後に私に向かって伸びていた手は落ち、優香の意識も落ちた。あ、あぁ、そう絶望して上を見上げると惨状を生み出した怪物が私に向かって剣を振り下ろしていた。


もう、終わりなんだ。私の思考には『死にたくないという』という気持ちと『やっと終われる』という気持ちが押し合いを始めた後に『やっと終われる』という感情に押し切られて絶望と解放への希望を持って私の幕は落ちる。しかしその感情とは別に怒りが湧いてきた。私と優香をこんな目に合わせた怪物を許さない、そんな憎悪にも似た感情が私を支配する。


そして私はその怒りの感情を開放する様に自分の奥底に眠っていた力の蓋を壊す勢いで破壊する。そうすると私の周りには暴風が発生した後に武器が具現化されて怪物に向かって射出される。私がそれに驚いていると、力が溢れてくる。そして同じ瞬間、この力の使い方を理解出来た。


これは…………………優香が使う特異能力と比べたら随分とドス黒い力ね。この力の性質は邪悪とも言っても良い。なのにこの力は心地良いと思ってしまうのは私が歪んでしまったから?私はそう思いながらこの特異能力の力を更に引き出す。この特異能力は拒否をしているようだったが、私は自分の感情をぶつけると理解をしてくれたのか、私の想像以上の力を引き出してくれた。


ありがとうね、私の特異能力相棒。これでこの惨状を引き起こした怪物を潰す事が出来る。私はそう思いながら拙いながらも、自覚した魔力を纏って自身の身体能力を強化するのだが、次の瞬間、私の魔力操作の技術は桁違いと言って良い程に飛び跳ねた。これは……………私の特異能力のおかげか。ありがとう、私の相棒。


私はそう考えながら怪物に向かって拳を握り構えを取る。

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