学校祭(スクールフェスティバル)編
第7話 ユウキと絶望
後になって知ったが、
自己紹介で霧江が「アニメが好き」と言ったことで、朝日に興味を沸かせてしまったみたいだ。
自己紹介の後、朝日は霧江に話しかけようとしたが、どうやら私が邪魔だったようで、霧江が一人になるタイミングを覗っていたのだ。
予想だが、一回目と二回目は自己紹介の後か、その日のうちに朝日が行動を起こし、霧江に話しかけた。その後も話すうちに趣味や話が合うことで両思いになった。
付き合うことを阻止するためには、二人の邪魔をするしかないが、霧江に嫌われてしまう。
そんな葛藤の中、月日は流れていった。
◇
学校祭準備期間。前回の私は何もすることができなかった。
ただ、仲良さ気に話す霧江と朝日を見て逃げ出していたが、今回は同じクラスのため逃げることはできない。そもそも、逃げる気なんてない。
霧江と朝日の仲は順調だ。しかし、霧江と朝日は家の方向が逆であるため、一緒に帰ることはできない。たまに、二人で一緒に買い物をすることもあるが、その限りだ。
その上、私が二人の後ろを気付かれないように尾行しているため、何が起こっても対応できるようにはなっている。
いつだったか、尾行に集中しすぎて警察の人に声をかけられた。特に
話が逸れたが、要は体育祭までまだ時間があるということ。
学校祭では、二人を近づけさせないようにしたいのだが、二人の学校祭での役割は同じだ。どうにか私が二人の間に入って邪魔をしなければ__。
「ねぇ、
今は、学校祭の要項を聞いた日の帰り。霧江と二人きりだ。
「えっと、聞いてなかった。何だって?」
「だから!学校祭の日、告白しようと思ってるんだけど__」
「えっ!?」
奥手で恥ずかしがり屋の霧江が告白だって?というか、一回目でも二回目でも学校祭で告白したことなんてなかった。
心変わりでもしたのか。でも、なんで__私という存在がいるせいで心に余裕ができたのか。
頭をフル回転させて、どうにか霧江に告白をさせないように考える。多分、いま霧江が告白しても朝日は付き合うだろう。それほどに二人の仲は親密であった。
「どう思う?」
「えっと__」
告白してほしくない。だからといって霧江の思いを蔑ろにはしたくない。
いま、私が霧江に告白すれば、付き合ってしまえば真面目な霧江は浮気なんてしないだろう__。
でも、霧江と付き合える確証が無いし、霧江を困らせるだけだろう。自分の思いと私の思いを天秤にかけて、私の思いを選んでしまう。私に気をつかって。
そんなのは嫌だ。霧江に心から好きになってもらいたい。
だから、私の返す答えは___、
「良いと思うよ。二人はお似合いだし__」
霧江は無邪気な顔で喜んだ。その笑顔を向けられる、私の気持ちなど知らずに。
あとがき
ご視聴、ありがとうございます。今回の話は前回のデジャブぽいところありましたね。
深雪が「買い物」と言ったのは、放課後デートって事を認めたくないからでした。見栄っ張りなところありますよね(3話のあとがきのコトとか)。
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