第13話 スイーツはスイーツ?

おっす!おら、なんのクラスの役職にもついてないモブの田中でっす!

 クラス委員にも入ってない俺なんですが、ただいまなぜだが委員長の手伝いをさせられております。

所詮 the雑用でっす!二階堂委員長様に、いいように毎回こき使われるしだいで。

「家に帰るだけなんだろ?」の一言で委員長様にこき使われております 。あるれぇ?

 今日は七瀬副委員長も一緒です。なんで俺委員長の仕事毎回手伝ってんだろう?謎である。

 七瀬さんからはお気の毒様という視線をいただきます。


「今日はここまでにするか」


 二階堂委員長のご発言により、本日のお仕事は終了のようです。はい


「七瀬さんって『〇・タバタ』のケーキ食べてたりする?」


  三人で帰宅の途中の道すがら、俺は駅の近くに最近できたケーキショップの名前を挙げた。俺は甘味好きなのだ。とくにケーキ大好き!


「あそこのケーキおいしんだけど、そんな頻繁に食べたりしないわよ。結構高くつし」

「そっか~やっぱお高いよな~」

「田中は『グラングラン』のイチゴプレミアムが一番だろ?」

「もちろん『グラングラン』は好きだけど、やっぱ色々食べたいじゃん」


 ────女子か。


 二人から無言の台詞が飛んだような気がするが気にしない気にしない

 モブたる俺の趣味の一つだ。

 

「僕は『モンドール』のケーキがよかったかな」

「あれは、サイズが大きかったってことだろ?」

「 え?何?二人であの店に行ったの?っていうかあそこ男子にはきつくない?」

「いや~。噂以上にピンクのとフリフリの店だった」


 かわいいケーキ屋さんという触れ込みはいいが、ピンクとリボン前面に押し出さないでほしい。

 とにかく入る人間が若い女の子ばかりなのである。そこに出されるケーキがかわいくておいしいと聞いたのだが、予想以上にピンクだった為


「委員長についてきてもらっちゃったっ」

「二人で?かわいい?ケーキ屋?向かい合って?」


 何だが七瀬さんの鼻息が荒くなってきたけど、気にしたらダメだ。

 視線が怖いくらいガン見されてるけど、めちゃこわいんだけど。気にしちゃダメだ


「僕の『認識阻害』使ってほしいっていうから」


 さすがの俺も、あの店には堂々と入れなかった。なので『認識阻害』できる委員長についてきてもらえばいいじゃーんっていうことになった。


「『能力』の無駄遣い‥‥‥‥」


「カップルシートに案内されたけどな?」

「女同士って認識のはずだったのにな?なんでだろう」

「その話詳しく───!」


 メッチャ七瀬さんが食いついてきた。こわいこわいこわい、その時の写真?はいありますあります。メッチャ画面に近くない?目が悪くなるよ?瞬きはしようね?こわいから


 七瀬さんが今度は委員長の撮った写真を確認しだしたので、俺は解放された。

 ───ふうっメッチャ怖かった。何を確認しているのかわからないのがまた怖い。

 七瀬さん目線は我らには解りません。いや、わかってはならないのだ。


「───で、なんか面白そうだから、そのまま入った」

「『認識阻害』使わず?」


 ─────ん?なんですと?


「いやちょっとどうなるかなって思って。そうしたら向こうのチーフっぽい人が出てきてカップルシートに案内されてさ、なかなかの注目度で結構面白かった」

「委員長のそういうとこ、尊敬するわ~。今度『モンドール』行ってみよう」


 ───えッ何?どゆこと? まさか皆が注目する中、男二人でカップルシートだったって事?違うよね?違うと言ってぇ!


「───ところで、アレなんだと思う?」


 焦る俺をサラッと無視して、委員長は俺の後ろ方向を指さした。

 指さす方向に振り返れば、公園の駐車場に止まった車に一人が寄りかかり、一人が開け放たドアから足を出して横座りしているのが見えた。気分が悪いのか両手で頭を押さえて顔が見えない。

 

  委員長が指したのはその後ろの事だろう、二人の背後に巨大な黒い霞のようなものが車の屋根に乗っているように視える。


「呪い系、かな───?」

「病気の元系じゃない?」

「とりあえず事故るんじゃね?」


「「 それだっ! 」」


 二人してズビシィと指さされた。仲いいね君たち、あと人に指ささないでね。


「───ちょっと君達、いいかな?」


 いつの間にか二人組のうちの一人が、俺の背後にいた。

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