第5話 魔王城で?

─────はい、やってまいりました 魔族領。


  久しぶりに見たよ。あらゆるとろこがオドロオドロしい雰囲気、空気まで汚染されているような光景。空は暗雲たちこめ、生ぬるい風が吹き、なんか雲の中で雷がビカビカしている。


 さて、俺たちのお仕事はここ魔族領にいる自称四天王とか、自称魔王とか言っているやつをバチバチにしばいて、一方的に指導をくわえるという簡単なお仕事です。


 なお、これには建物の破壊工作も加わります。─────ええはい、異世界勇者なんてもんはこんなもんですよ。

 人の家に土足で上がって、やりたい放題で撤収。え?ひどい?なんとでも~

 恨むなら人任せ(異世界人)にした、自分達の女神様に言ってね~。


「 ここらじゃない? 」

 

 委員長とタブレット上の地図と見比べながら、現在地を確認していると。


「 もうちょっと先─────あ!あれだ THE魔王城 !! 」


「「「「「「 おお─────っっ  」」」」」」


 ホントに物語に出てくるような『THE魔王城』の登場にある意味皆、感動している。


「うわ~ホントに魔王城だ」


「 ホントだ。ちょっと感動するわ、ちょっと撮っておこう 」


「 感動しているところ悪いけど─────来るぞ !! 」


 下からこちらに向かって一斉射撃された。

 なんかでっかい岩みたいな物まで飛んで来る。


「 あっぶねっ!! 」


「 押し返せッ! 」


 委員長との合図で、皆一斉に大量の攻撃陣が浮かぶ。「どっせーい」という掛け声とともにバレー部の九条が岩を打ち返した。なんか炎引いてる。え、なにアレ魔球的なやつなの?

 狙撃された以上にドコドコどかどか上からを攻撃すれば、ちょっと静かになった。


「 ─────あっと 行き過ぎた」


 委員長様先頭に上空から攻撃しているうちに、魔王城上空を通過してしまった。


 ───おわあああぁぁぁ 急に下りないでええ~てか、もう離してええぇぇぇ~。




 はい、 やっと委員長様から解放されましたモブ要員です。

 ちょっと魔王城の後方になってしまいましたが、小高い丘に全員降り立ちました。


 黒い小山に見えるのが魔物の集団でしょう。本日も満員御礼だな。


 グッグッとスクワットしながら。


「よっしゃいっちょやるか~」


  と、和泉君がやる気を出しております。直接魔物と相対する皆様はそれぞれエモノを片手に出陣です。えっお前らまたポーズすんの?え?魔王城背後に?記念撮影かよッ!


 お触りしたくない女子なんかは遠距離魔法とかですが、その「さすまた」はどこから持ってきたの。

「うぉぉりゃあああぁぁぁ」とか叫びながら、サンドバックみたいにデカ物を飛ばしている子がいる。

 どうしたんだろう、何がイヤなことでもあったのかな。ストレス発散みたいにぶっ飛ばされる魔物が、ちょっとだけ不憫。


「田中、田中。あれ出してよ」


 後衛の仲間がご所望なのは、俺お手製の陣幕セットである。

 はいはい、お待たせしませんよ~。試しに作ってみたら意外に快適で使えるとの事で、毎回後衛の陣地に設置するのである。

 ちなみに、何もないとちょっと寂しいから、幕には校章をあしらってます。


 戦国時代っぽく家紋を入れようとしたら,贔屓の武将争いでそれはそれは恐ろしいことになったので、皆様納得のうえこうなりました。

 後は掲揚旗ポールを出して、旗をなびかせれば、はい俺特製、結界陣地の完成である!ふふん、モブの俺にもこれぐらいできるんだよね。

 結界の出来に満足しながら、なびく旗を見ると端っこに『2-C参上!』となぐり書きされていた。‥‥‥‥あいつらか‥‥‥‥いつの間に。 とりあえず今日はこのままか‥‥‥‥。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る