第4話 その病気の名は?

─────ドオオオォォォン


 過ぎ去った方角から、崩壊する音が響いてきた。

─────お、白い点がまた一つ消えた。

 すげぇな、容赦ないや七瀬副委員長様。更地どころか抉ったよ。

 俺は委員長様に引っ張られた恰好のまま、その光景を眺めた。

 周りには同じように飛んでいるクラスメイト達が、やいのやいの言いながらついてきた。


「美菜っちの新技、派手ね~」


「新技、名前つけたんだ」


「無詠唱だと、いまいち決まらないんだってさ」


技名だけなら、ほぼほぼ無詠唱でしょう。

 最初のうちはみんな「くっ!おれの左手がっっ!!」とか「今はまだ早いぃ!!」とか「右目がうずくっ」とか色々ヤラカシタ‥‥‥‥。


 意味のない無駄な詠唱をオリジナルで作り、派手なエフェクトをキランキラン、キラキラキラキラさせて、某変身少女をしていた女子は「‥‥あ、ヤバい。キツイわ」と目が覚め。

 

 やたらごてごてピカピカしたベルトをした男子は、右手でこうするんだ! 左手でこうだろう!とカードを出したりした。「え、それでどうなるの?どういう意味?ね?ね?ね?」てとっても純粋な心で聞いた瞬間、二人とも「うおおおぉぉ─────」とひとしきりローリングかました後、スンっとなった。

 そして互いに、泣いて肩を組んで慰めあってた。‥‥‥‥あれ?俺なんかした?‥‥‥‥なんかゴメン。


 所詮、みんながかかる病気である。そう皆が一通りかかった。


 ほぼほぼ皆の目が覚めた結果、戦闘時間が短くなり、攻略がサクサク進むようになりましたとさ。

 ただ、いまだにやり続けているチームもあるんだけど。


 一人一人違うキメポージングをして「我ら五人!」とキメ台詞を吐き最後はどどーんと背後に爆破をかます。

 毎回ポーズが違うらしいが、ちょっと解らない。俺がシャッターを切るまでがワンセットです。後で各自のスマホに送ります、はい。

 ちなみに女子には不評です。毎回、大量に砂埃が舞うから。


「任務遂行予定時間!1600ひとろくまるまる !! 」


「えっ! マジでっ」


 委員長の宣言に一様にざわついた。


「本番これからなんだよな?1時間ないよ! 」


「巻きで行くぞっ !」


 うわぁ、異世界世直し巻きですか。


 いやあ、モブの俺はにはとてもとても。 


 えっ俺もやんの?やめて~君たち運動部みたいに俺様TUEEEEEEってやつやれないっすよ。ピカピカバリバリの大技も無理。小が大を投げ飛ばすなんてやれないし。


「─────ねぇ 美菜っち。あいつら仲いいよね」


「ん。問題ありません」


 いつの間にか追いついていた副委員長事、美菜っち様。

 

 え?誰と誰の事?  えっ? 何 ? やめてっ ! やめてくれ !! そんな腐の目で俺と委員長の事をみないでくれっ !! 俺はそんなんじゃないっ!! 一般モブですっっ !! 

え!? 妄想だからいいって!? いやいやいやいや やめて───── !!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る