六節 智樹の宿願

 タイムカプセルをもう一度掘り起こし、すぐさまスイッチに耳を近づけた。音はしないようだ。分解しようという話になったが、誰も道具を持っていなかったので家の近い拓海たくみが取りに行ってくれた。その間、俺とあやは木や土を見つめていた。

 「おかしい」

 少ししたとき、彩が言った。何がおかしいのかと思って目をやると、彩はタイムカプセルから他の中身を引っ張り出してた。

 「何して……」

 言いきる前に止められた。

 「見て奏太」

 見せられたのは智樹ともきの夢が書かれた紙。

 「なるほど、そういうことか」

 「うん。そういうこと」

 そして、二人はカプセルの中からそれぞれが夢を書いた手紙、一人一人が選んで入れた思い出の品を一つ一つ注意深く確認し、並べ始めた。すると、戻ってきた拓海がすぐに散らかる中から何かを発見した。

 「智樹の夢って『町を復興ふっこうさせる』だったんだ」

彩と奏太そうたは確信を得たことを伝えるように目を合わせた。

 「十四年前の時以来、多くの大人が町の復興作業を手伝ってくれた。それで、あの頃は特にこの夢をもつ子が多かったけど、智樹はつねに言ってたもんね」

あやが思い出したように言った。

 「そうだったな」

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