第4話 経緯と地獄

目の前に広がる景色は何十人のプレイヤーとまたもや白い背景が広がっていた

何人かで集まって話している様子であったが俺たちが入ると、みなこちらに視線を向ける

怪しい目で見られるが、そんなことは気にはしなかった

「あら?カインさん達ではありませんか!おふたりもここに居らしたのですね」

俺らの方に来て話をかけてきたのは、知り合いのシスターさんだった

シスターさんは名前の通り、シスターのアバターを使用しており、銀髪のロングヘアが特徴で緑色の瞳は自分で作ったらしいからすぐに分かった

「シスターさんも無事でしたか……テテル達は見かけましたか?」

俺がそう聞くとシスターさんは首を横に振る

「いいえ…私の方で探していたのですが見つからなくて……あ、でもゲールさんならあちらにいらっしゃいますよ」

彼女が向こうに目線を向ける

そこには別の人たちと話しているゲールさんの姿があった

「ゲールさーん!」

シスターさんが呼ぶと、ゲールさんは俺たちのことに気づいたようだった

「あ!カイン君にザペル君!君たちも無事だったんだね……良かったぁ…」

ゲールさんは男性のアバターで、博士のような白衣を着ていて身長は165cmほど

丸眼鏡をかけ、コーヒーミルクの様な色をした髪色をしている

男性アバターでは少し髪が長く小さく結んでいるのも特徴だ

いつも優しいお兄さんイメージの彼

「2人とも怪我とかしませんでしたか?」

心配そうに俺らに話しかけてくる

「大丈夫ですよ!この通り元気ですから!」

そう言いながらザペルが重い盾を上に上げる

「早くそれ下ろしとけ…怪我させたらどうするんだよお前は」

そうやって俺は注意する

「まぁいつものザペル君で、いいんじゃありませんか?」

ニコニコしながら言うシスターさん

「ゲールさん…こちらの方は?」

高身長で悪魔のようなアバターを使用している人が言う

先程までゲールさんと話していた人だ

「あ!そうでした……カイン君、ザペル君。こちらの方はレーアさん。最初のゲームの時に知り合ったんだよ」

「どうも初めまして……カインです…よろしくお願いします」

俺はそう言って挨拶する

「ザペルです!よろしくっす〜」

ザペルもその後に続いた

それと俺はレーアさんの足下にいる小さなローポリアバターのプレイヤーを見つける

「ん?お前は?」

ザペルがしゃがんでその子を見る

「あー…我が子……そこにいたのか」

レーアさん曰く、その子は白狐さんと言うらしく余り喋らない方だそう

「白狐さんはずっとそこに居ますものね。可愛らしい」

シスターさんは、ふふっと微笑ましくする

その後、どうやってここまで来たのか経緯をみんなに説明した

するとゲールさんが言う

「あれ?僕たちのゲーム内容とは違うんだね」

その言葉に疑問を抱いた


───ゲーム内容がそれぞれ違う?


話を聞くと俺たちのように槍が飛んでくるのでは無く、時間内に閉じ込められた部屋から謎をとき脱出するという内容だったらしい

「檻のような所で目が覚めて天井全体には大きく、鋭い針が沢山あったんです……時間が経過する事に連れて下がって来ました……」

シスターさんが悲しそうに言った

脱出出来なければ、"死が待っている"ということであっているのか……

シスターさん達以外にも、何人かいたらしいが、脱出に失敗し、残酷な景色が広がっていたのだと言う

呼んでも反応は無し

その周りは、赤く染った血の池が大きくなっていく

リスポーンすると思っていても、姿は消えず刺さったまま

その中で生き残ったのがレーアさん、白狐さん、そしてゲールさんとシスターさんだけだったそう

最初にゲールさんが脱出を成功させ、その次に近くにいた3人を助けたそうだ

流石、頭脳派のゲールさん

他の人たちも助けたかったらしいが間に合わなかったそう

「はは これ」

白狐さんがそう言いながら、古びた紙をレーアさんに渡す

「ん?これは……どこで見つけた?」

レーアさんがそう聞くと白狐さんは答える

「さっきのがいこつがたべてたぁ」

そう言って紙を渡し終えるとレーアさんの肩に登る

紙を見てみるとその文字は血液で書かれておりぐちゃぐちゃな字で読みずらい程であった

「これは……」

レーアさんが見たあと俺たちにも見せてくれた

そこにはこう書かれてある


〔 のゲームは れてい る

あいつを こ して れば〕


途切れ途切れで、よく読めない

「結構年月が経っているようですね……」

ゲールさんはまじまじと見る

「なにか因縁があるように感じますが……」

シスターさんの言う通り、確かに憎しみが篭っているようには感じる


"あいつ"


あの少女の事だろうか

ゲームマスターのようなやつだが未だによく分からない

ただ単にテンションの高い陽キャにしか見えんが……


そう話していると突然周りが騒ぎ始める


人々はもうひとつ大きな扉の前で立ち止まっていた

「何かあったんでしょうか」

レーアさんが一言を告げた次の瞬間

アナウンスが鳴り響く

『皆様ようこそお越しくださいました。これよりSECONDGAME(セカンドゲーム)へとご案内致します』

女性の声が響く

俺たちは疑問と恐怖を抱きながらその場にたたずんだままだ

『ゲームはまだ始まったばかりでございます。是非ご堪能ください』


始まるのだ


そして気づく


───さらなる地獄が、目の前にあるということに


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