第2話 FIRST DEATH GAME
「……ぃ…!…おい!」
揺さぶられる感覚
聞きなれた男性の声が耳に響く
しかしまだ耳が遠い様だった
「おい!起きろ!"カイン"!!」
はっきり聞こえるとやっとの事で誰なのか察しが着いた
カインという名前は俺のことだ
そして、初っ端から呼び捨てで呼ぶということは……
「……うっせぇ…ザペル………鼓膜に響くから辞めてくれ」
自分の体をゆっくり起こし、頭をくしゃくしゃとしながら言う
「やっと起きたか……心配したぜ」
ザペルは、ほっとしながらそう言った
ガタイのいいおっさんで、赤い盾の装備と赤い鎧のような姿のこいつはザペル
歳は同じくらいで、毎回鬱陶しく絡んでくる野郎だ
「そこまで心配する程じゃねぇだろ……そっちに向かおうとしたら意識が飛んで………」
簡単に説明しようとしたが、なにか引っかかる
気のせいだろうか
そんなことを考えてるとザペルがまた叫ぶ
「ってそんなことしてる場合じゃねぇんだ!早く手伝ってくれ!」
「うるせぇって…少しは落ち着け」
ザペルらしくないな
そんなに必死になるなんてよっぽどの事だ
「その前に、なんでそんなに急いでるんだ?ここのワールドは、なんかのゲームかなにかか?深呼吸してから話せ」
言われた通り、ザペルは深呼吸してから説明する
「俺もゲールさん達のところに行こうとしたら意識が飛んでよ!!そんで、気づいたらここにいたんだが…みんな居ねぇし、周り白い壁しかねぇしよ!!」
勢いで話しているがなんとなく把握した
「それで?なんでそんなに慌ててるんだよ」
「こっからなんだよ!!みんないるのかなってメニュー開こうとしたらコントローラーがねぇんだ!!」
"コントローラーが無い"?
試しにボタンを押そうとするが親指で手のひらを押す感覚が来る
まさか…
恐る恐る手を自分の頬に当てる
さっきの違和感は、これか…
自分で手のひらを抓ってみる
"痛みが走った"
感覚なんて導入されたのか?
そう考えていると、また耳元がうるさくなる
「なぁ!!お前ならわかるんじゃねぇか?!頭いいしよぉ!」
ガシッと肩を掴まれ揺さぶられる
「わかったからもう少し落ち着けこの馬鹿野郎」
「いでっ…!」
手をグーの形を作り、上からあいつの頭を叩く
彼も感覚があるらしいな
くそほど痛がってるし
にしても……どうしたものか
みんなを探すにしろ、周りを見る限り殺風景で何も無い
ただ白い空間が広がっているだけだ
「さて…どうする?その様子じゃあ、もう全体見たんだろ」
そう言いながら俺は壁に触る
「あぁ……見たし、叩いてみたりしたが……なんもなかった」
それで頭パンクして俺を起こしたと…
まぁこういう謎解きは得意だが、あまり役に立たなさそうだしな
すると突然天井からモニターが出てきた
俺らはモニターに視線を送る
『はいはーい!皆様〜!ようこそいらっしゃいました〜!』
モニター越しから聞こえてくる少女の声
しかし、画面は真っ暗なままだ
『ちょっと〜?早く撮してってば〜』
砂嵐がちょくちょく起こったが、少し待つとしっかりと少女の姿が見えた
カメラに顔をドアップで近ずけ片目だけを見せる
赤黒い瞳は少し不気味に感じた
『おー?やっと映ったかな?じゃあ始めるよー!』
そう言いながらカメラから離れ、後ろにあった大きな玉座に座る
大切そうに持っているピエロの人形を片手で抑えながら、もう片手でひらひらと手を振りニコリと笑顔で話し始めた
『皆様初めまして!私はここのゲームマスターを務めるカルメでーす!!よろしくね〜』
見た目の年齢だとまだ13辺りだろうか
髪色はピンクのショートヘア
赤黒い瞳の色に水色の線が斜めに入っている
身長は140~150くらいで、黒イメージのゴスロリファッション
ピエロの人形が好きなようだ
『皆様にはこのゲームに強制参加していただきまーす!拒否権はありませーん!』
両腕でバッテンを作る
「そんなことより、俺らはここから出たいんだけど…つーかゲームってなんだよ」
ザペルがそう言う中、話は続く
『あ!そうそうこのゲームにはまだ何個かステージがあるから皆様頑張ってくださいね〜!とりあえずどっかしらの壁が開くのでそこから移動お願いしまーす』
説明が雑だし軽すぎるな…
もしかしてこういうストーリー性のあるゲームワールドだろうか
何となく嫌な予感はするが警戒するだけ警戒してみよう
『それではまたお会いしましょー!"生き残っていれば"…ね?』
そう言われた後、壁がスライドし開かれたが真っ暗だった
その他何も無いのかと後ろを振り返る
俺はすぐさま大声でザペルに伝える
「走れ!!」
何故そういったのか
後ろから尖った無数の槍が、一直線に飛んできたからだ
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