第27話

「冬は勉強するの?」


尚巳は屋上のベンチに座る。まだ暑いかな?と思ったけど、座れそうだから隣に座る。


「するよ?当たり前だけど」


「頑張ってね!」


素直に言えるの羨ましい。


「尚巳、テスト期間は早く帰れる。明日からな」


「そーなのー?」


「だから、一緒に帰ろ」


「冬勉強するよね?」


「するよ?いつも通り。だから遊んでよ」


「よくわかんないよー」


「だから、半日で終わるからいつもより早く帰れる。その時間遊べるだろ!」


「いーの?」


「友達とは?遊ばない?」


「みんな勉強するってー」


「へーまじめだな」


女子は特に勉強しないんじゃないかと思ってた。


「冬はいーの?」


「いいの」


「じゃあー、遊ぶ!んー、ボーリングする?」


「いいよ」


本当は今日も遊びたいけど、もう予定あったみたいで…くそー


てなわけで翌日は予定通り遊ぶ。

女友達には勉強教えてもらうことも、一緒に帰ることも断ったらしい。尚巳ありがとう。

飯はファミレスで食った後、ボーリングへ。


「いっくよー!」


「おーうまいじゃん」


「やった!」


くるりと回る尚巳。かわいいけど…


「尚巳、スカート短い。見えるからなんとかしろ」


「えーうそー」


「下になんか履けよ」


「ぶージャージにする」


カバンに入っててよかった。まぁ洗ってるかは謎だな。


「ここで着るなよ?」


「わかったよー。ねー」


「なに」


「どこで着替えたらいい?」


…あー、それ言ってなかった。


「無難にトイレかな。行くぞ」


尚巳を迷子にさせないためには、付いていくのが早いな。


「着替えたー」


「それじゃ、再開だな」


「こら!そこの中学生」


振り返ると、先生らしき大人。


「誰ですか」


「…1年生ですね?隣のクラスの先生です。まったく、テスト期間になにしてるんですか」


「え、遊んでますけど…」


「ねー先生は?遊び?」


「まったく!学生だけでこんなところ入っては行けません。勉強もしないで!」


「帰るか」


「えー途中なのにー」


「あ、あなた金井くんでしょう?成績優秀なはずなのに、なにを考えてるんですか」


「デートしてるだけなのにねー冬」


「すみません。帰ります」


「待ちなさい。金井くんはこんな女子生徒と遊んでる暇ないんですよ?勉強して下さい」


「こんな?ってどんなー?」


尚巳のことばかにした。


「先生、彼女のこと悪く言わないで下さい。デートに誘ったのは俺です。尚巳、行こう」


不愉快だ。

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