辰巳

第23話

「はい、土産」


こういうのを友達にあげるなんて、実はすごい久しぶり。小学生以来かな?


「なーにぃー!?遊園地デート?」


謎のテンションの辰巳。夏休みははじけてしまうのか?


「違う。親戚と」


「えーつまんね」


辰巳はジュースをすする。


「お菓子とか、さすが春。これなら家族で分けられるとか考えたわけか」


「…まぁ、うまいかわかんないけど」


「thanks!」


握手を求められる。


「え、なにそれ」


「あ、…ボランティアでキャンプ行っててさー。ずっと英語しゃべってたんだよねー。はは、日本語怪しいなぁ」


求めた手は引っ込めた。


「夏休みもボランティアするのか…」


「楽しいよ?真矢もいるし」


「は?花田さんも道連れ?」


「そうじゃないしーもともとやってたわけだよ。春も来年来たらいいよ!」


「いや、そんな英語しゃべれない」


「あっそ。じゃ無理」


辰巳は相変わらずあっさりしている。


「夏休みの課題とかいつやってるんだよ」


「時間空いた時。てゆーか春もいつやってるんだよ!塾ばっかなのに」


「時間空いた時」


「一緒じゃん!…あ、デートは塾だけ?」


「いや、最近来てない、…連絡もしてない」


「電話すれば?」


軽い…軽すぎる。トラジ以上に軽いぞこいつ。

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