助っ人秋

第15話

入学してすぐ、部活動に勧誘された。

入る気はない。だけど、


「頼む!金井くんが試合に出てくれたら助かる!」

「秋もやろうよ」


こういうのに弱い。なんとかしてあげたくなるから。


そもそもなんで勧誘されたかというと、小学校一緒の奴らが勝手に俺のこと話したみたいだ。もともと運動は得意だったし。

でも部活となると…拘束されるから、嫌だ。

冬も心配だし、家のこともやりたいし。


だから、試合にだけ出ることを約束した。

まぁ、練習しないと心配だし、朝練をちょっと参加するという形だ。

冬と一緒に登校できないけど。


しかし、夏休みにバスケ部でちょっと暴れた。


「先輩すみません。試合出れません」


「は?秋、お前今回勝ったから来週試合あるぞ?」


「…出ません」


「試合出る約束だろ?」


「約束は守れません。…昨日、先輩たち、俺のテニスの試合になんでいたんですか?」


「…あー、お前のダチからかわいい子ちゃんがそこにいるって聞いてな?な、お前ら」


「そうそう」


「秋、俺が教えたけど?」


お前か。尚巳ちゃんは巨乳だとか抜かしたバカは。


「先輩に注意したのは、俺の兄弟です」


「あ、あれって…隣のクラスのやつだった?双子の?」


無視。こいつ、もう許さない。




「二度と手伝いませんから!」


みんな唖然とした。いつも温厚な秋が、いきなりガチギレ。秋はそそくさと退散した。


「…先輩、あいつ…尚巳はそういや、秋の兄弟の彼女だったんですよ」


「は?…なんでそれで秋がキレる」


「秋は…弟のことになるとキレるらしいって…言ってたよな?」


同意を求められた。秋はもう、取り合ってくれないだろうな。


「そうだけど。先輩…なにしたんですか?」

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