第12話

家に帰ってきた秋にすぐに謝罪する。

ソファでくつろぐ秋は怒ってないようだ。


「つーまり!尚巳ちゃんが言い出したのか」


「そう。お前さ、募集中ってよく言ってなかった?」


「そりゃ…軽く?」


「だから本気で考えてたみたい…」


「まじか。あの中にはいないよ。先輩たちうるさいから」


「あーそう」


「ま、告られるの待つ」


「ふーん」


告られたらいいのか?秋はよくわからない。


「尚巳ちゃんに、冬が告ったんでしょ?」


「…俺の話しにするな」


「すげぇ〜冬がね」


「やめろ」


「俺はそんな勇気ないなー告られるの待ち」


「ふーん」


「それよか、先輩が尚巳ちゃん気に入ってて、1年のやつがさ、めっちゃ巨乳って情報流してさらに気に入って!…いで!」


一発殴っておいた。もちろん軽く。


「まじうざいんだけど」


「ごめん、冬~。尚巳ちゃんかわいいじゃん、テレビに出れそうじゃん!あとグラビア」


「お前らほんとそればっか!」


「冬もくっついてたくせに」


「俺はいいんだよ!」


「羨ましいなー冬」


「なんだよそれ、お前から告ればいいじゃん」


「そこまで好きな子いないしー。冬が俺が好きそうな子探してみて」


わけがわからない。秋は明日はテニスの試合らしい。公園近くだからまた尚巳と行くことにした。

こちらもすごい人気だ。声援は、秋、秋と聞こえる。


「ヤンキーな人がこっちきてる」

「え?なにかな?」

「なんか怖いよ」


女子の群れに男子の3、4人の群れがやってきた。誰だよあれ。


「お、いたよ美人」

「ねー、俺らとデートしようよ」


あろうことかまとめてナンパ!?俺も混ざってるんですが?


「やだ怖い!」

「誰に言ってるんですか?」


この女子たち他校の人のようだ。昨日の人たちと雰囲気違う。秋のファンは他校にもいるのかぁ。


「そこのブス。勘違いすんな?そっちの美人ちゃん!君誘ってんの」


この指差し方…昨日の?


「へー?たしかにデカそう」


じろじろ尚巳を見てる。きもい。


「誰?」


尚巳は率直に話してる。


「3年だよ、見てわかんねーの?」


いつの間にか人だかりはさっと尚巳から離れた。ので、俺と尚巳だけ残される。尚巳は、はてなを浮かべている。


「かわいいじゃん」

「これで中1?やばくね?」


勝手にしゃべってる。


「1回俺とやってみる?」

「は!固まっちゃってるしかわいいじゃん」


「えっとーあのー」


だめだ!絶対話をしてはだめだ!


「先生ー!この人たちが怖がらせてます!」


試合中だが、審判のどこぞの学校の先生に俺は精一杯叫んでいた。秋もびっくり仰天。


「こら!お前らなにしてる」


「げ、なんだよ!」

「やべ」


すたこら去って行った。


「冬、あの人たちなにしたかったの?」


あの人たちの話が全く通じてなかった。


「俺も知らねーけど、尚巳を見てて腹立った」


「冬ーー!大丈夫かー!」


何も知らない秋が走ってきた。

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