第11話

「おーめちゃかわいい子いるじゃん」


たぶんバスケ部3年の先輩が尚巳を指差す。嫌な感じ。


「お!尚巳ちゃん!」


秋がようやく気づいてやってきた。


「おまえ知り合い?」


う、秋…どうする


「えっと…」


秋が何か言おうとしてる、俺と尚巳のこと?


「おい、秋」


「冬、なに?」


秋の手首を掴んだ。言わなくていいよ、と。


「かわいいね。1年?」

「美人じゃん」


げ、尚巳のとこに…!


「ありがとうございまーす」


嫌だ。尚巳と話すな!秋から手を離して尚巳の手を引く。


「尚巳、行くぞ」


「ねぇ秋くん!女の子いっぱいいるよ!選び放題だね!」


無理やり連れ出そうとしたら、振り返りながら話す尚巳。


「え…?」


秋はぼんやりとした顔だ。


「なんだよ、秋のファンじゃねーのかよ」


男の先輩は大笑いだ。


「私たちのこと馬鹿にした?」


女の先輩は不機嫌になってるようだ。

帰ろう。ここはまずい。


「頑張ってね!秋くん!」


「…余計なことを」


げ、秋が怒ったかも…。家でちゃんと話そう。

秋の立場は大丈夫かな…?心配だけど、ここにはいられない。

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