第6話

「冬!お前、聞いたぞ」


尚巳を家に帰ってきたら、秋も帰ってきてた。


「なにを」


「彼女を連れ込んであーんなことやこーんなことしてたって!」


「してない」


「えー」


「なんでそうなんの?」


「母さんが2人で楽しそうに話してたって言ってた」


「…それであってる」


「楽しそうにしてた?」


「まあそりゃ、楽しかったけど」


「ふーーーん、冬がねー」


ソファーに座りながら変な顔する秋。


「なんだよ」


「えーどんな顔?」


「うるせ」


「尚巳ちゃんは冬のこと好き?」


「しらん」


「冬はめちゃ好きなのか?」


「うるせ」


「冬は確認しないの?」


「うるせ」


「なんか答えろー」


秋は質問ばかりだ。うるさいから母さんのところに行って晩飯の手伝いをする。

にーちゃんも帰ってきて、晩飯になった。


「え…冬が?」


「そうなの。すごーいかわいい彼女家に連れてきたのよ」


やはり話されてしまった。


「冬って女の子にすごい優しいのね、お母さんびっくり」


「…冬はもともと優しいけど」


「そうなんだけど。かわいい子には優しくなるのかな?楽しそうにお話ししててね」


「そうなのか、冬」


なんだか、どんな表情していいかわかんね。


「今日はデートだった?」


「…まぁ、そうだけど」


のんちゃんと会ったついでみたいだけど。


「俺も」


「えー春も?」


「塾の帰り」


「いいわねー楽しそう!」


母さんはデートしないとか言うけどね。


「冬は楽しかったか?」


「…まぁ、うん」


「冬、家にまた連れてこいよ。見たことないし」


「うん」


「ねぇ!晩御飯も今度から一緒に食べようよ、ね?」


「それは、どうかな…」


母さんはにーちゃんの彼女よりも気に入ってるみたいだ。

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