第5話

「…なんだよそれは。で、でもわかるようにするの?恥ずかしくない?」


「なんで?」


「タイミングあるでしょ?」


「なーに?それ?」


「もー恥ずかしいから抱きつく」


ブラウスのレースと胸の柔らかさ、尚巳のいい匂いを感じる。落ち着く。


「冬逃げたー」


「…じゃあチューしていいの?」


「いいよ?」


いいのかよ。目があってる尚巳とキスするとか、恥ずかしすぎるー


「尚巳は俺がどんだけ好きか知らないでしょ?」


「冬」


「なんだよ」


「チューって楽しいかもー!冬がこんなに近いねぇ」


「は?」


「もっかいしよー?してもいい?」


「する」


はー尚巳といたら癒される。



「秋くんは彼女募集してるの?」


また秋の席に戻ると、尚巳は謎なことを話し出した。


「…さあ?」


「じゃあさ!いっぱい秋くん好きな人いるよ!教えてあげよーか?」


「いや、そこまでしなくてよくない?」


「そーなの?」


「いいから。あーもう秋の話はもういい。話変えよう。そういや、尚巳は汗かいても臭くなさそうだな」


「えー?冬は~洗剤の匂い?」


「それ服な。尚巳は、洗剤とかじゃなくて、なんかこういいにおいなんだよ」


「そう?わかんない」


自分の手をかぐ尚巳。


「かわいい。犬かよ」


「冬」


「なに」


「学校ではあんまり話してくれないね。恥ずかしいの?」


なぜ今その話に?


「…そうです」


「やっぱりねー!面白ろーい!」


「面白がるなよ」


「冬はすーぐ恥ずかしがるんだからぁ」


「わるかったな」


「変なのー」


「…尚巳。ありがとう」


「え?冬がありがとう言うとか珍しー」


「わるかったな」


「ふふ!」


尚巳の笑顔は、まぶしい。明るくて元気をもらえる。


「笑うな」


「楽しーね」


「…あらまぁ、冬」


「…ちょ!勝手に開けるなよ」


いつの間にか、母さんが部屋のドア開けて見てるし。


「冬、そろそろ遅いけど…尚巳ちゃん大丈夫かしら?」


「…あ、尚巳、家まで送るから」


「うん」

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