人魚をかいたい
ご飯のにこごり
おわり
私が浜辺であるいているといつもあの子がやってきます。砂をかけてきたり、死んだ虫を沢山頭にかけられて、私は本が汚れちゃうじゃない。なんて考えながら歩いていました。いつもあの子はどんなにいじめても意に返さない私に飽きてすぐにどこかに行ってしまいます。私は走り去って行くあの子の背中見るたびに堪らなく愛おしく思うのでした。
ある日私は岩肌で頭から海に似合わないような赤い赤い鮮血を流してぐったりしている、人魚を見つけました。人魚はとても綺麗でした。だけれどなんだかその顔はぼんやりしていてなんだか靄がかったような気持ち悪さを感じました。それは肌寒さと血潮の薫りのせいでもありました。
いつも入り浸っている、海の近くにある秘密の地下室にその人とも魚とも言えない生き物を連れて帰りました。
少女は部屋に入ると人魚をテーブルの上に置き、机についているベルトで手と首を縛りました。
近くにある大きなタンスの中からカラカラに乾いたカエルの死骸を取り出して人魚の口に砕いて入れてあげました。すると人魚の怪我は最初から無かったかのように頭から血を流すのをやめました。少女は嬉しくなってバッタも口に入れてやりました。人魚は喜んで咀嚼します。顔に生気が戻ったのを見た少女は途端に人魚のなにもかもを終わらせてしまいたくなりました。少女は3段あるタンスの2段目から刃がガタガタの果物ナイフとトンカチを取り出しました。トンカチは上手いこと刃が入らない時にとても役に立つことを少女は知っていました。猟師さんに教えてもらったのです。捌く前にお腹を触って見ました。触覚は人と変わりません。テーブルの上に乗り少女は人魚に馬乗りになりました。その時少女の血流は勢いを増し頭が沸騰しそうでした。アバラの少し下のあたりに刃を入れ下に引きます。人魚は喋れないながらも嬌声に似た呻き声をあげました。その時少女は心地よい背徳感と罪悪感を感じました。その気持ちは恋にも性愛にも似ていました。下腹部が熱くなり始めての感覚に戸惑いながら溢れ出た臓物を愛撫し、しばらくしてやがて絶頂を迎えました。少女はそれの虜になり、ますます人魚に魅入られていきました。開いた腹も生き物を食べさせれば治ります。何度でもお医者さんの真似事ができ少女は大変喜びました。
ギコ、ギコギコギコ、人魚は何度首を落としても生きています。地面に落ちた首は、風船のようにふんわりと跳ねました。体の方は血抜きをされた魚みたいに、死んだ直後に全身の筋肉が収縮するみたいに元気に跳ね回ります、少女はそれが堪らなく好きでした、命の終わりを何度も感じられ、やがて泡になって消えてしまうだろうから怖い母親に見つかる心配もなければ、腐らせてしまう事も無いのです。少女にとって最高の友達であり玩具でした。少女は喋るのが苦手だったので喋ることすら出来ない表情豊かな人魚は魅力的であり、クラスでいじめてきた子と同じ顔をした人魚はいい遊び相手でした。元々少女はそこまでいじめっ子を恨んでも嫌いでもありません。むしろ好きでした、ついて回る子はその子しかいなかったので周りからはあの2人は仲が良いと噂になったものです。
ある日少女は食べた人の顔になる化け物のお話を読みました。少女はそのお話がたまらなく気に入り四六時中そのことで頭がいっぱいでした。
そしてある時学校にその子は来なくなりました。少女は1人の時間が増え、いないとちょっぴり寂しく思いました。そのため、いつもに早く家に帰りたくて仕方がありません。家に帰れば、会えるのだから。
男は暗い血の赤で彩られた地獄と見紛うその小屋で後悔をしていました。娘の首なし死体を見つけたのもありますが、そこに佇む娘と同じ顔をした人喰いの化け物を見つけたからです。そして、男は拳を力強く握りしめ憎しみを込めて、元は娘の顔だったものを愛してやらなかったこと、もっと一緒にいてやれなかったことなんかを謝り泣きながら顔の原型が無くなるまで殴り続けました。動がなくなった顔のぐしゃぐしゃな人魚の腹にメスを入れ胃袋を取り出します、胃袋からは赤黒い液体と金色の毛が出てきました。男はまた人魚に怒りをぶち撒けます。そばに立てかけてあったハンマーで人魚が肉片になるまで殴り続けました。その姿はまるで娘を形が無くなるまで殴り続ける狂った父親のようでした。狂った男は音で人が来ない内になんとかしなければなりませんが何もできないでいました。不意に足音が耳に入ると男はあたふたしてとりあえずすぐそばにある肉片を片付けようとしました。男はパニックなってしまい肉片を一つ残らず食べてしまいました。それから男はあっさりと見つかり、殺人鬼として捕まり監獄の床を舐めることになりました。
幾らか年月がたち男は自分が妊娠していることに気づきます。元々あの日から身体がおかしなことには気が付いていました。ただそれは傷の治りが早いだとか風邪をひかないとかでした。腹にはなんの異常も無かったのです。やがて子宮を持たない彼は苦しみ始め遂にその日を迎えました。だけれども出産することが出来ません、誰にも相談もできずにいると腹の中の虫が痺れを切らしたのか肉壁を齧り始めました。壁は容易に突破され、男は絶命しました。代わりにそこには美しい白い髪をした血塗れた少女が立っていました
人魚をかいたい ご飯のにこごり @konitiiha0
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