#21
「ぼくの名前はセランと申します。危ないところを助けて頂きまして、なんとお礼を言えば……お手を煩わせてしまって本当にごめんなさい……」
どんよりと今にも死にそうな表情で謝罪を口にする金髪少女、改め、セランちゃん。なんかあれだな。「アンタは本当に何をやらせてもダメだね!グズ!ノロマ!」と怒られてる姿が容易に連想できる様な子だな。可愛い。
「まったく本当だよ!このボクの手を煩わせるとは万死に値するね!ボクはね、キミみたいなスライムにすら勝てない雑魚とは違って優秀有能な優れた冒険者なんだ。そんなボクの貴重な時間を無駄に浪費した責任をどうとるつもりなんだいキミは?」
アリル様の戯言!いやオマエもスライム倒したことないやんけ!と無粋なツッコミは置いておく。そしてスライムを倒したのはアリルじゃなくて俺なんだけど?オマエ見てただけじゃん!という無粋なツッコミも置いておく。
「はひぃ……ご、ごめんなさいっ……!」
「謝罪するだけならばバカでも出来るよ!そんなものよりも出すものを出したらどうなんだい?ほら、ボクの手を煩わせた迷惑料に、スライムを代わりに倒してあげた謝礼金、きっちり払いたまえよ!」
普通にカツアゲ!難癖つけて金品ねだってるぞアリルちゃん!自分なんもしてないのに!面の皮厚すぎっ(笑)
「えっ、あ、あの……払うって……その……」
これには流石にセランちゃんタジタジ。とても怯えてらっしゃる。
「そんなのお金に決まってるじゃないか。ほら、有り金全部だしたまえよ。それで今回は見逃して上げようじゃないか!」
「で、でも……その……ぼく、そんなにお金持ってなくて……これがなかったらゴハン食べられないし、宿にも泊まれなくて……」
「だからそれを全部だせと言ってるんだよ?そんなことも分からないのかいキミは?キミのような雑魚の所持金なんか雀の涙程度だろうが、それでも無いよりはマシだ。それにキミがお金を使うよりボクが使った方が有意義だろう?世のため人のためにボクがキミの泣け無しの所持金を有効に活用してあげようというのだから、むしろ感謝してもらいたいぐらいだよ。ほら、それが理解出来たのなら有り金全部出すんだよ。ほらほら」
「うううぅぅ……」
わけのわからん世迷いごとを垂れ流すアリル。ビックリするぐらいクズなんだけど。絶好調のアリルを前にしてセランちゃんは瞳をうるうる。今にもこぼれ落ちそうなほどに目に涙を溜め込んでいる。
ふむ。女の子の泣き顔……とてもそそられますね。よしアリル様に加勢したろ!
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