#16



駆け出し初心者冒険者がパーティーを組む意義というのは、ぶっちゃけるとほぼ無い。


依頼は個人またはパーティー単位で受注が出来て、成功報酬は個人ならば総取りになるし、パーティーならばパーティー内で山分けとなる。


基本的にパーティーを組む利点というのは、ソロでは難易度が高いが、その分、報酬が多い依頼を達成する為にある。


たがら、草むしりなどの誰でも出来る(誰でも出来るとは言ってない)依頼をわざわざパーティーを組んで受ける必要など、本来ならばどこにも無い。


パーティー組んでわざわざメンバー分の依頼回数をこなすーーそんなことしなくてもソロでパッとやって終わらせればいい話である。


普通なら。



「納品物の検査終了後致しました。薬草採取依頼達成です」


「ふふんっ!この程度の依頼、ボクにかかれば造作もないね!余裕すぎてあくびがでるよ!」



アリル、渾身のドヤ顔。


納品した薬草、全部俺が集めたヤツなんだけどね。


薬草と雑草の見分けもつかず、さらに渡した薬草無くして貢献度マイナスのポンコツクソザコナメクジちゃんは、よくそれでそんなドヤ顔が出来たもんですね。可愛いね。



「さすがはアリルしゃまでしゅ!しゅごい!えらい!」


「ふんっ!ボクの活躍は当然の結果ではあるが、キミも凡夫なりに役に立ってなかったとも言えなくないかな!まぁ、合ってもなくてもいいような、ほんの些細な貢献だったけどね!」



貢献度割合、俺200対アリル-100だったはずなんだけど。あれかな?事情改変の特殊スキルとか持ってるのかな?それとも記憶障害?



「……ふむ。キミのような何の役にも立たない変態凡夫でもようは使い方次第と言うわけか。それならばキミが額を床に擦り付けてどうしてもと言うならば、今後も人を扱うのにも卓越した才を見せるこの偉大なるボクが使ってあげないことも無いかな!」


「ははっー!偉大なるアリル様!クソの役にもたたない凡夫ではありますが、今後もアリル様の手となり足となり身命を賭してご奉仕致しますので、何卒、今後もアリル様のお役に立つ誉を頂きとうございますぅー!」



やっすい頭でアリル様に土下座なう。



「ふっふーん!無能な雑魚雄にしてはなかなか良い心構えだね!そこまで言うのならば大変不本意ではあるけれど、仕方ないかなぁー?キミのことは今後もボクが使ってあげるようじゃないか!」



よし。今後も一緒に居る言質とれたな。


とりあえず視界から消えろ、と言われていたのが、ちょっと進展した気がする。この調子でアリルちゃんと仲を深めていきたいね!



ちなみにこっそり受付の人に聞いたら、アリルは今回、初めて薬草採取依頼を達成したそうな。



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