#15
なんやかんやありつつもアリルと一緒の冒険者生活が始まった。
本日の目標、初心者依頼3種を達成し、2人分の飯代及び宿代を稼ぐこと。
まずは草むしりならぬ薬草採取依頼。
「アリル、薬草集まったか?」
「ふんっ!この程度のことボクにかかれば造作もないことだよ!」
アリルが集めた薬草を見せてもらう。物の見事に全部が雑草だった。これだけそこらかしこに薬草が生えてるのに的確に雑草だけを採取するこのセンス。脱帽だよ。
もしかしてわざとやってる?本気なんだろうなぁ。だってめちゃくちゃ得意げな顔してるもん。
俺はアリルの手から雑草をひったくって地面に叩きつけた。
「うわぁ!?ボクが折角集めた薬草になんてことしてくれるんだよキミはぁ!」
「これ全部、薬草じゃなくて雑草な。ほら、こんなこともあろうかとアリルの分も薬草集めといたぞ」
「えっ……。あ、あぁ……うん……」
キョトンとしたアリルに俺が集めた薬草を渡した。
これで草むしり依頼達成分の薬草は集めた。お次は下級ポーション制作用の薬草も集めておくか。それで一旦、街に戻って依頼を達成しつつ次の依頼に移ることにしよう。
草むしりはまだ続く。
……数時間後ーー。
俺はどっちゃり薬草を集めた。アリルはバカほど雑草を集めた。俺はアリルが集めた雑草をまた地面に叩きつけた。
「うわぁ!?ボクが集めた薬草にーー」
「だからこれは雑草だっつってんだろ!」
「ひうっ!?」
皮肉混じりに薬草採取を草むしりって言ってたけど、アリルは本当にこの数時間、草むしりをしていたようである。
「とりあえず一旦、街に戻るかー」
「う、うん……。ん……?あ、あれ……?」
ハッ!っとなにかに気がついたアリル。ばたぱたと何かを探すように自分の体をまさぐっている。
んー……?これは、まさか……。
「薬草……無い……」
アリルはボソリと呟いた。
アッ、ハイ。アレね。わかった把握した。俺がさっき渡した薬草を落としたかなんかして無くした感じね。はいはい。
「こんなこともあろうかと薬草多めに集めてあるから大丈夫だ」
なんとなーくこんなことになるんではなかろうかと、ちょっと予想していたところはある。
「アリル個人としては依頼大失敗だな!でもパーティーとしては依頼達成だぞ!よかったなアリル!俺とパーティー組んでて!」
「ぐぬっ、ぐぬぬぬぬ……!」
ちょっと煽ってやるとアリルはぐぬぐぬしてた。
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