#10



「それじゃアリル、一緒にメシ食いに行こうぜ!」


「ふんっ……!なんでボクがキミと一緒に食事を取らなければならないんだい?いくらパーティーを組んだからと言ってもボクはキミと馴れ合うつもりなんか(ぐぅー)こ、これっぽっちも……な、ないからね……!」



おっ、途中でお腹鳴らしたけど最後まで言い切った。



「そこをなんとかお願いしますアリル様っ!どうしてもアリル様と一緒にメシ食べたいんですっ!付き合ってもらう以上、食事の代金は全部俺が出しますので!何卒!何卒ご容赦のほどお願い申し上げます!」



やっすい頭を地べたに擦り付けながら土下座でアリルに懇願する。女の子と一緒に!メシを食う為ならば!


プライド?ドブに捨ててあるが?今頃、排水溝に詰まって腐ってるんじゃね?



「ふ、ふーん……そうかい……食事の代金は全部キミが支払うと……なるほど……。どうしようもない役立たずの凡夫にしては、な、なかなかいい心構えじゃないか……。そうだね。キミがそこまで言うのなら?一緒に行ってあげないことも無いかなー……?」



ふんっと顔を逸らしつつもチラッチラッとアリルはこちらを伺っている。アリルさん口の端からちょっとヨダレ垂れてますよ?なんそれ可愛い。



「ありがとうございますアリル様!んじゃメシ食いに行くかー!つっても俺も所持金そんな多くないから多分パン1個とかになるけど」



如何せん駆け出し冒険者で元放浪の身だった俺氏。元より所持金はスズメの涙ほどで、それに先ほど貰った草むしりのお小遣いが加わっただけである。


パンふたつ買ったら、あとは1泊分の宿代しか残らない。とてもひもじい。



「うっ……。そ、そうなのかい……?くっ……!まったくキミと言うやつは奢ると豪語しておきながら、このていたらく!ホントに使えない奴だねキミはぁ!キミのような使えないゴミカスは息を吸って吐いてるだけで有害だよ!この社会の為にも土に返ってみたらどうかな?」


「パンいらない?」


「……い、いる」



アリルは顔を真っ赤にしながらギリ聞き取れるぐらいの小声で呟いた。



パンを買って2人で食べる。



「うぅっ……3日ぶりの、食べもの……!むしゃむしゃ……おいしい……おいしい……!」



アリルは夢中になって俺があげたパンに食いついた。3日も何も食べてなかったんですかアリルちゃん……。



「あー、俺、少食だからもうお腹いっぱいでパン食べ切れそうに無いわー。大変申し訳ないのですが捨ててしまうには勿体無いのでアリル様に俺のパン半分食べて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」



俺の食いかけは食べそうにないので半分……というか3分の2ぐらいあるなコレ。パンをちぎってアリルに差し出した。



「いいのかいっ!?ありがとうっ!」


「お、おう……」



なんか予想外の素直な反応が返ってきて面食らった。そんな腹減ってたのね。ええよええよ、たんとお食べ。



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