第11話【襲撃】
園内にある建物の物陰に姿を隠している2人の男がある少女を見つめていた。
その少女とは月の姫の力を発揮したと噂されているる人物。
「月光羽闇…間違いなくあの女でしょう。」
「どうします?すぐに捕らえた方が…」
「いや待て、此処は人目が多すぎる。しかも横にはあの男がいるんだぞ。」
「ではどのように…」
「ここは爆発でも起こして一般人を避難させた後に確保するほうがいいだろうな。」
指示を出した男はガサゴソと鞄から小さな黒い球体―爆弾を取り出しそれを片手に不気味な笑みを浮かべていた。
2つの影はもうそこまで迫っていた―。
時計の針が12時を指した頃。
メインパークを堪能してきた私達は園内にあるレストランへ行き昼食をとることにした。
「ふぅ…まだメインパークだけしかまわってないのに既に体力が…」
「お疲れ様。結構夢中になってたみたいだけどどうだった?」
「海の生き物ってあんなにいっぱいいるんだね、勉強にもなったし凄く楽しかった!タツノオトシゴなんてもう可愛すぎて…!」
「羽闇ちゃん動けない位ずっと見てたもんねぇ。」
「えへへ」
メインパークにいた海の生き物達は皆可愛かったが私は特に気に入ってしまったタツノオトシゴを思い出しながらオーダーしたフィッシュバーガーを食べる。
そんな喜んでいる私を見て夜空君も嬉しそうに微笑んでいた。
「そういえばさっきタツノオトシゴのグッズも買おうか悩んでたよね。アクセサリーだったっけ?」
「うん、タツノオトシゴのペンダント。デザインも良かったから買おうと思ったんだけどいつも着けているものがあるからやめたんだ。」
「その白い石のペンダントだよね、月光家に伝わる大切な物って大旦那様からも聞いてるよ。」
「私も最近聞いたんだよね、最近までは紫色だったんだけど突然白く変色してさ。でもこれはお母さんの形見でもあるの。」
11年前に亡くなってしまったお母さん。
お母さんは私にこのペンダントを託す時、何か意味深な言葉を口にしていた様な気がする。
【私でも駄目だったけど貴方ならきっとこの運命から抗える事が出来るかもしれない―】
きっとあの人は私だけでも月の姫の力を発揮して短命の呪いから解放されてほしいと願っていたのだろう…。
「じゃあ羽闇ちゃんにとっても大切な宝物なんだね。僕は宝物はあってもそういった気持ちのこもった宝物はないなぁ。」
「夜空君の宝物…?」
「正確には僕のというより星宮家のと言えば良いのかな。これ―」
ドォォン!!!
夜空君が懐から何かを取り出そうとした瞬間レストランの外から大きな爆発音が響いた。
ドゴォォン!!バァァァン!!!ドォォン!!!
何が起こっているかも分からなかった私やお客さん達は窓の外を覗き込むと園内のあちこちへと爆弾を投げ込んでいる男2人の姿が見えた。
爆発音はだんだんと近くなり此処も窓から投げ込まれる可能性が高いだろうと思い、急いで距離をとるとついにこのレストランにも小さな爆弾を窓から投げ込まれ天井や壁が崩れだした。
「皆様!こちらの非常口からすぐに避難してください!」
先程の爆発で怪我人もいたがレストランのスタッフさんの誘導で何とか無事に全員脱出する事が出来た。
「ハァハァ…一体何が…」
「羽闇ちゃん、危険だから絶対に僕から離れたら駄目だよ。」
お客さんは皆、そのまま水族館の外へ避難する為に退場ゲートへと向かっていくが夜空君だけはその場を動かずに真剣な表情を浮かべながら私を抱き寄せた。
そして懐から何かを取り出したところで背後から不気味な男の声が聞こえた。
?「ヒヒヒ…月の姫はっけーん。」
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