第10話【デート】
壱月の運転する車で1時間が経ち目的の水族館に到着した。
マーメイドフィッシュキャッスル。
つい最近設立したばかりで魚の種類も多く見られショーや園内のフードメニューなどにも力を注いでいるという今大人気の水族館だ。
だが毎日入場制限がかかっているだけあって開園前だいうのに入場ゲートの前には小さな子供からお年寄り、マーメイドの格好をした女性など沢山のお客さんが待機していた。
これは開園しても私達はあと1.2時間は待機する羽目となるだろう。
「羽闇ちゃん、僕達はこっちだよ。」
先に歩を進めていた夜空君は関係者窓口の方へと向かい窓口に立っていた受付のお姉さんに金色のチケットを差し出した。
「以前、此方で仕事でお世話になった星宮です。」
「いらっしゃいませ。星宮様ですね、先日はありがとうございました。同行者様の含めたチケット2名様分千切らせて頂きますね、それではQRコードをお渡し致しますのでご入場の際に此方の貝殻の像にに翳してください。」
お姉さんは夜空君から受け取ったチケットを2枚千切りQRコードが印刷された紙を差し出す。
関係者用の入場ゲートに案内して貰った矢先に大きな音楽が流れた。
パンパカパーン!!!!チャラララ〜♪
「皆様お待たせ致しました!!まもなく開園です!楽しんでいってくださいねー!」
ワァァァ!!パチパチパチ!!
激しい音楽とスタッフのお兄さんの声でお客さんは耳がつんざくばかりの歓声と盛大の拍手が響いた。
お姉さんにどうぞ、と声を掛けられ貝殻の像にQRコードを翳すとゲートが開く。
ゲートをゆっくりとくぐり抜けると目の前には沢山のアトラクションやカラフルな建物があり遊園地と思わせるような光景が広がっていた。
お魚の着ぐるみがあちこちで楽しそうに踊っている。
「わあぁぁ…!念願のマーメイドフィッシュキャッスル!ずっと来たかったんだよねー!」
「知ってる。前に日向さんと望月さんの話していたよね。」
以前、水族館が開業されるという情報が入り私達3人が教室で盛り上がっていた事があってそれがたまたま近くにいた夜空君にも聞こえていたらしい。
「あはは〜…聞こえてちゃってたか。この辺は水族館なんてないし私も行ったことがなかったから。」
「実は僕、此処に何度かモデルの仕事で来たことがあってね。オススメも沢山あるし僕で良かったらエスコートさせて貰ってもいいかな?」
「えっ、いいのっ!?」
「勿論だよ。今日はデートなんだから僕は羽闇ちゃんの彼氏でしょ?彼女に楽しんで貰えるようにエスコートをするのは彼氏として当たり前だよ。手、繋いでもいいかな?」
「は、はいっ!」
デートなんて一生縁が無いと思っていたから凄く嬉しい。
断る理由もない私はすっと差し伸べられた夜空君の手を取りそのまま恋人繋ぎで手を絡めた。
「じゃあまずはメインパークへ行こうか。色んなお魚さんが沢山いて凄く可愛いんだよ。」
「わーっ、楽しみ♪実は1番気になってたところだ!」
私達は会話を弾ませながらメインパークの方へと歩を進めた。
その後ろに私を狙っている影が潜んでいたとも知らずに―
?「あれが…月の姫か…。」
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