第4話【誘拐】
あれから私も青空にぃも頑張って調べてみたが光る鉱物や変色する石というものはあるという事は分かったがあの時の出来事とは少し違い結局何も分からなかった。
そして、石の変異の日から1週間が経った。
夕飯の買い物を終わらせて部屋へ戻ろうとしているとアパートの前にぽつんと黒い高級車が停まっていた。
しかもグラサンを掛けた怖そうな男達がゾロゾロと立っている。
「何アレ…こんなボロいアパートにあんな高級車が停まるなんてそもそもおかしいでしょ。」
私の住むアパートは建物が古くあまり良いアパートとはいえない。
そんなところに高級車が停まるってことは…借金から逃げた人を追っている、とかかな?
ともあれこの人達が完全に道を塞いでいるせいで前に進めないわけで…ここは勇気を出して道を譲って貰わなくては。
「あの、すみません。ここ通りたいんですけど…」
グラサンを掛けた男達が視線を私に向ける。
?A「失礼致しました。あの―貴方様はこのアパートの住人で?」
「は、はい。そうですけど…」
?A「失礼を重ね申し訳ないのですが、お名前をお伺いしても?」
「月光、羽闇です。」
―その言葉に私以外の全員が硬直した。
?B「……彼女だ。」
?A「見つけたと連絡しろ。」
?C「オイ、お前ら。車の動かす準備をしろ!」
複数の男達がざわつき始め、立ち尽くしていた全員が私に跪く。
?A「お待ちしておりました、羽闇様。私どもは月光家の使いの者であり大旦那様の命により貴方様の馳せ参じました。どうぞ、中へお入りください。」
「…………はぁ?」
月光家?
使いの者?
大旦那?
わけがわからない。
私には親戚などは居ない―そうお母さんから聞いている。
父親も私が生まれる前に亡くなっている。
親戚がおらず施設で育てられるはずだった私を唯一引き取ってくれたのは青空にぃのご両親だ。
「ちょっと待ってください。私には親戚は誰も居ないはず…私の引き取ってくれたのは母親の友人ですし。」
?A「詳細は大旦那様と直接お話した方が宜しいかと。悪い様には致しませんのでどうぞ中へ。」
早く乗れと言わんばかりにグラサン男達に車に乗せられてしまう。
私を車に乗せたのを確認した運転手は大旦那様とやらの居る場所へと車を進める。
………ほぼ誘拐じゃない。
警察に通報した方がいいのかしら…でも何か最大の秘密が暴かれるのかもしれない。
今は大人しく奴らの指示に従おう。
私は緊張でガチガチしているのを表には出さないようにと窓の外を眺めていた。
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