第3話【お兄ちゃん】
―放課後。
「うーん、何だったんだろ。あの光…それに…」
首に掛けているペンダント。
その石を摘んで見るもやはり―月白色。
いつもの紫色の石ではなくなっている。
「突然光出して白く変色するなんて…今までこんな事なかったのに何で…?てか突然石が光りだすなんてあるわけ…?」
ブツブツと独り言を呟きながら下校している私は周囲からしたら確実に変人だろう。
?「何ブツブツ言ってんだ羽闇?」
「うわっ!…あれ、青空にぃ?」
後ろから突然声を掛けられて吃驚するも、振り返れば見知った姿があった。
少し癖のかかった水色髪のこの大人びたイケメン青年は、天空 青空(てんくう そら)。大学1年生。
身内がいない私を引き取ってくれたのは彼の両親であり、血は繋がってないけど一応私のお兄ちゃん―家族である。
去年までは私の通っている高校の生徒会長だったらしい。
「お、合格したのは知ってるけど羽闇が花咲紅の制服着てるとこ初めて見たかも。」
「あ、そうだよね。私もだけど青空にぃも入学の準備もあって忙しかったもんね。どう?似合ってる?」
「ああ、可愛いよ。」
私はくるくると回って制服姿を青空にぃに見せびらかしながら彼からの【似合っている】という言葉を待っていたのだが思いの外…それ以上の返答がきてしまって一瞬硬直してしまった。
しかもその柔らかな笑顔が反則すぎる。
「…っ!ちょっと褒めすぎなんじゃない…?」
「そんな事ないだろ、元々羽闇は可愛いからなー。」
照れて下を向いてしまった私を覗き込みニカッと笑ってポンポンと軽く頭を撫でてくれる。
青空にぃって昔からこういうところが変わってなくて結構嬉しかったもする…。
「それより羽闇、さっきブツブツと独り言を言ってたみたいだけど何かあったのか?」
「え?…あぁ、アレね。」
…この石の事、青空にぃなら何か分かったりするのかな?でもこのままにしとくのも何かモヤモヤするし…うーん。
「…ねぇ、青空にぃ。私がいつも着けているペンダントの事覚えてるよね?」
「ああ、母親から譲り受けたとか言っていたやつだろ。」
「実は―…」
今日の石の出来事を青空にぃに話してみた。
好きな人を見てドキドキしてたらー…なんて流石に恥ずかしいから言えなかったけどね。
「…急に光り出して変色する石か、確かに白く変色しているな。」
「うん、こういう現象って聞いた事ある?」
石の話をしているうちに既に私の住むアパートまで到着してしまったのでせっかくだからと部屋の玄関先まで送って貰いながら青空にぃがペンダントの石を摘んでは太陽に照らしてみる。
「うーん、俺はあんまそういうのに詳しくないから聞いた事はないけど。でもおかしいよな、11年も羽闇が肌見離さず持っていたのに今まで光も変色もなかったんだろ?」
「うん、1度もなかった。」
「とりあえず俺も少し調べてみるよ、羽闇も何か分かったら教えてくれ。」
「うん、ありがと。」
「じゃあ俺はもう帰るけどちゃんと戸締まりしろよ?」
「わかってるわよ!じゃあね。」
青空にぃはアハハと笑いながらペンダントを渡してはワシャワシャと私の頭を撫でて帰って行った。
いつまでも子供扱いなんだからー!
でも青空にぃに相談出来てちょっと嬉しかった。
石の事、何か分かるといいなぁ…。
私もちゃんと調べてみよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます