黒歴史コンテストの最終選考に残った名作です。
こういう作品ってとても重要だと思います。いまの愛知/三重の若い方達がどれだけ伊勢湾台風の怖さを知っているのか。ボクっ子の女の子の人生と、叔父から聞いた伊勢湾台風での出来事が絶妙なトーンで描かれています。じんわりと感動する素晴らしい作品でした。
以下、芥川賞作家 市川沙央先生のコメントを転載させていただきます。
『ちょっとした短編小説の趣きで、緊密な語り口にぐんぐん惹き込まれていきました。濁流の色に染まってしまった心の和解と昇華の物語に、黒歴史という言葉の深淵までも考えさせられました。何度読み返しても不思議で、切なく、これが一つの(黒)歴史として語られたことに希望の光を感じて、そして穏やかな語り終わりがとても素敵だと思いました』