第34話 朝まで遊び尽くしました
それから一階二階合わせて五つある寝室を紹介して、今度はロビー右手の大きな部屋に案内する。
「ここがシアタールームってやつなんだけど、この大きな画面でゲームしたり映画を見たりできるんだ」
「凄いのじゃ! メチャクチャ大きいのじゃ!」
このスクリーンは100インチのものを作ったからな。高さだけでも俺の背丈と同じある。横幅に至っては、俺の背丈の二倍くらいはあるのではないだろうか。
「映画っていうのはどういうものですか?」
「ああ、映画ってものはね——」
サーラに尋ねられ、俺は映画について説明する。ストーリーのある動く絵画のことだよって言ってかろうじて理解させることに成功した。
「しかしやっぱり実物を見てみないと分からないですね」
「まあそうだよな。今度、人を集めて作ってみるよ」
「よろしくお願いします。楽しみにしてますね」
ちなみにシアタールームの音響もかなりこだわってみた。5.1チャンネルのスピーカーを作ったからな。かなり大迫力でゲームができるだろう。
「そしてその横に地下室に続く階段があるんだな」
俺はそう言いながら階段を下っていき、実験室に案内する。今まで乱雑に置かれていた試作品の魔道具たちは棚に綺麗に整列して並べておいた。かなり壮観な見た目になっている。
「おおっ! 凄いかっこいい地下室なのじゃ! まさしく実験室見たいな感じじゃな! 魔王城の地下室とはわけが違うのじゃ!」
「ロシュ様。魔王城の地下室は極秘情報ですので、あまり口にはしないでもらいたいです」
「そうだったのじゃ! ごめんなのじゃ! うちの地下室が拷問部屋兼牢屋だってことは秘密にしていて欲しいのじゃ!」
さらにうっかり口を滑らせたロシュにサーラは呆れたような視線を向ける。ちなみにロシュはそれに気が付かず、俺の試作品を漁るので精一杯のようだ。あまりそういう極秘情報を教えて欲しくなかったんだよなぁ。いつそれが地雷になるか分からんわけだし。
「……タケル様。一応このことは黙っておいてもらえると助かります」
「ああ、もちろんだよ」
サーラに言われて俺はしっかりと頷いておく。ちゃんとしておかないと後々が怖いからな。
「あとは最後にとっておきのものがあるんだ」
そう言って俺は再び一階に戻ると、一番お気に入りの場所へと案内する。そこは前よりもパワーアップした露天風呂が用意されている。
「おおっ! 広くなってるし、たくさん種類があるのじゃ!」
「これは……なかなかいい香りがしますね」
二人とも口元があからさまに緩んでいるのが分かる。やっぱり露天風呂は最高だよな。硫黄の匂いも素晴らしい。ホクホクと湯気が上がっていて、今すぐにでも楽しみなと言われているような錯覚に陥ってくる。
そうして家の中を一通り説明し終えた俺は、最後に庭に戻りトキの犬小屋を紹介して終わる。
「凄かったのじゃ! 一段とここに来るのが楽しみになったのじゃ!」
「それはよかった。やっぱりみんなには楽しんでもらいたいからな」
「わん!」
俺の言葉にトキも同意するように吠える。やっぱりトキもみんなに懐いているし、楽しんでもらいたいと思っているみたいだ。
「それで、今日は泊まっていくか?」
「もちろんなのじゃ! ボードゲームをやってみたいのじゃ!」
俺が尋ねるとさも当然のようにロシュは言った。サーラもこれには反対しなかった。いつもなら『明日も仕事があります、ロシュ様』みたいな苦言のひとつくらいは出るところなのにな。
「それじゃあ、今日は夜まで遊ぶぞ〜!」
「おお〜、なのじゃ〜!」
そして俺たちは日が昇るまで遊び尽くして、午前中はぐっすりと眠りにつくのだった。
ちなみに遊んでクタクタになるまで遊び、ようやくロシュたちが帰ったと思った三日後にレイナたちもやってきて、同じようなことを繰り返して流石にヘトヘトになったのはご愛嬌。
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