第13話 平和な世界

 3年後。

 世界は激変した。

 紛争を繰り返していた中小国は治安維持を名目に介入したアメリカによって制裁された。

 国連もアメリカのやることに異を唱える事は出来なかった。

 アメリカがあのAIを使用していると公表したのだ。

 アメリカは更に機能を強化しAIを完璧な物とした。

 実際反発した国、中国はアメリカによる侵攻を受け壊滅的な被害を出した。

 侵攻した名目は事実上の同盟関係にある台湾の開放であったが、大陸にまで侵攻していた。

 軍縮をしたアメリカ軍と、軍縮をしてはいたものの最低限の軍縮に留めていた中国との戦争であった事もあり、世界は驚愕した。

 その戦争はロシア等の有力な国の介入もあって終結したがアメリカが使用しているAIが圧倒的に強いということを証明した戦争でもあった。

 中国大陸には中華民国と中華人民共和国の二つが存在するようになった。

 これにより国連のパワーバランスは崩れ、誰もアメリカのすることに異を唱える事は出来なかった。

 この一連の出来事により、世界には平和が訪れた。

 AIによって国民は一人一人管理され、テロを起こす予兆のある者は先に逮捕される。

 海外にあるテロ組織の潜伏拠点も割り出され制圧された。

 世界はアメリカによる平和を謳歌していた。

 それが軍事力、恐怖による平和だとしてもようやく訪れた平和に人々は感謝した。

 だが平和になり、それまで活躍していた民間軍事会社は完全に用済みとなり、多くの組織は規模を縮小するか、解散した。

 不満は確かに募っていた。

 世界が完璧な平和を手にするのはまだ先のようだ。

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