第37話 アランの訓練
昼食を頂き、午後はアランの様子を見に行きます。
アランを直属の騎士にしましたが、変わった事はありません。
ありませんが、わたしはアランの訓練に立ち会える時は立ち合う事にしています。
「本日も訓練の様子を見に来ました」
本日もアルニルとアランの食う連の様子を見に来ましたが
本日は珍しくトリシャ様もご一緒しています。
「今日はトリシャ様もご一緒ですか?」
「そうです。珍しく、トリシャが騎士くんの様子を見に行きたいと言ってついてきました」
「トリシャ様はまだ名前で呼んでいただけないんのですね」
「名前を呼ぶのは面倒だし、騎士くんは騎士だから問題は無いからね」
「確かに騎士なので、問題はありませんが......」
アランも待ちではないので困っていますが、気にしても仕方ないので
アランはわたしたちに一礼をすると、訓練を始めます。
本日は剣術の訓練ですが、基礎の他に模擬戦も行っています。
「アランも大分様になってきましたね」
「そうですね。基本はしっかりしていますが、まだまだ踏み込みが甘いのと
癖なのか体重が右にかかる癖がありますね」
「そうですね。右に体重がかかる癖がありますね」
剣を振るのは片手ではなく両手でありますが、アランは右側に体重がかかりやすく
重心がややぶれる癖があります。
体幹を鍛えてはいますので、立ち姿は綺麗なのですが剣を降る時や
相手に向かって踏む込む時に軸が僅かですがずれています。
「この前の実戦の時も自分が狙った感じとずれている感じはしていましたね」
「そうなのですか?」
「はい。初めての実戦してはかなりうまく行きましたが、やや剣の軸がずれており
基礎は申し分ないんですが、剣にブレがありダメージがやや減少してる感じです」
「そうなのでうすね」
「はい。攻撃自体はかなり有効だったんので、防具の隙間を狙い大きなダメージを
与えたのですが、軸がぶれて防具に当たってしまう事が何度かありましたね」
つまり、相手の防具の隙間を狙うという精密な攻撃はしていますが
軸がぶれていて、剣筋がずれてしまい本来ならば相手に大きなダメージを
与える事が出来たはずが、防具に当たってしまい攻撃が無効になったのですね。
「お話を聞くと、思った以上に腕はあるのですね」
「そうですね、腕は十分にあるのは模擬戦を見てもわかります。
ただ、相手はさらに上で、良い所まで行くのでが負ける事も多いです」
「アランはまだまだ新人ですし、ベテラン騎士にはまだまだ勝てませんね」
「あと、負けそうになると諦めようとする癖もありますね」
「それはわかりますが、本人もその点はわかってはいる様です」
「わかってはいても、なかなか直せませんからね。実戦の時は必死になっていたのか
そのような感じはしていませんでしたが、模擬戦を見ていますと
どう攻めるか躊躇したり、強い相手が1人でもいると引く所もあります」
「まだまだ経験不足だからですかね」
「それもありますが......元々精神的に弱い所はあるようですね」
精神的に弱い所はだれしも多かれ、少なかれありますが騎士にとってはそれは
致命的になりますからね。
ファーガスは精神的に強いと言いますが、何も考えてない所はありましたが
魔族相手ではそれがむしろ良かったようです。
あと考えてないと言いましても、相手を見極めて戦い方は考えていました。
脳筋と言われながらも、ファーガスが強かったのは相手をしっかりと見極めたからなのです。
「弱くはないのですが、模擬戦を見ても押す所でも引く所はありますからね」
「そうですね。今も押した方が良いのに、相手の反撃で引いてしまいましたね」
「そうですね。反撃によって隙が出来ましたから、防御の後に剣や蹴りを出しても良かったですね」
「アランは基礎はしっかりしてますが、基礎に忠実しぎますからね」
基礎がしっかりしているのは良いのですが、基礎に忠実過ぎて応用が出来ていません。
基礎が無ければ応用が出来ませんが、アランは騎士がしっかりしすぎて逆に動かない感じです。
「そうですね。そして、引いたのをみて相手も押していて形勢が逆転しましたね」
模擬戦は最初はアランが押していましたが、先ほど引いた事より形勢が逆転し押されています。
そして、アランは防御一辺倒になりますが、防御をしているアランの右足を相手が払いました。
するとアランはそのまま倒れ、相手が押さえつけれて模擬の剣を突きつけれました。
「参りました......」
アランは手を上げて、降参をしましたが実戦では負けは死を意味します。
「相手もアランが右側に体重が乗る事がわかっていて、右足を払いましたね」
「一緒に訓練をしてますので、弱点をわかっているのでしょう」
「そうですね。ただ、実戦では死んでいましたね」
アルニルもわたしと同じ事を考えましたが、戦いとはそう言う事です。
ただ、わたし自身は戦えないので、アランに言う事は出来ません。
「以上で模擬戦を終わりにする」
「ありがとうございました」
模擬戦が終わりましたので、アランの元に行きます。
「お疲れ様でした」
わたしはアランに声を掛けますと、座っていたアランは立ち上がります。
「模擬戦の後ですから、座っていてください」
「そうはいきません、王女陛下の御前でありますので」
「そうですが、これはあくまでもわたし個人の見学であり、王女としてではありません。
それに、アランは直属の騎士なので、わたしが頼んだ事はしないといけませんので。
それに、座った方がゆっくり話せます」
「王女陛下はそのようにおっしゃるのならば……」
わたくしが座ると、アランも再び座ります。
下は芝生ですが、手入れがされていますので気にしません。
そして、わたしは先程のアランの模擬戦について話すのでした。
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