第36話 道中のお風呂問題

ファーガス地方へ行く決まった以降、準備を整えてましたが

ファーガス地方にからも受け入れが整連絡が来ましたので1週間後に出発となります。


「出発まであと1週間ですね」

「そうですね」

「今度は前回よりも長い旅になりますね」

「片道12日ですが、天候などでさらに時間がかかるようです」


今回の旅は長くなりますので、前回より準備を整えますが馬車に積める限り

食料や水も積んでおきます。


「地図を見ますと、途中から町どころか宿場もないのですね」

「そうですね。さらに今回の旅で最大の難所はボウト峠越えがあります。

峠自体の高さはそうでもないのですが、距離が長く道が険しいです。

宿場が峠の両麓にあり峠の上にもお助け小屋ありますので、泊まる事は可能でありますが」

「なら、そこまで大変ではないのですね」

「お助け小屋は人が駐在してはいますが、宿屋でなく一時的な避難小屋です。

なので、ただただ寝るだけの小屋ですよ」

「そうなのでか?」

「はい、ベッドでなく寝るための床に毛布をかぶって寝るだけです。

あとお風呂もありませんので」

「本当ですか!?」


床に毛布をかぶって寝る事よりもお風呂がない事の方がわたしには堪えます。


「峠の上ですから、小屋の中で寝られるだけでもありがたいのですよ。

あと、女性と男性はちゃんと別になっておりますので、ご安心を」

「女性と男性が別なっているのは良いのですが、毎日身体を清潔にしている

わたしからしましたら、お風呂に入れないのは辛いです」

「大丈夫です、そのうちなれますから。それに、本格的なマオを退治に

行く事になりましたら、テントや洞穴などでの野宿ですよ。

なので小屋で寝ること自体が贅沢になります」


確かにアルニルの言う事は正しいです。

マオの城はトリシャ様の住むエルフの森よりさらに奥地に入った山に上にあります。

記憶をたどりますと、エルフの森よりマオの城まで何もなくても歩いても早くて3日かかります。


ただ、それは前世での話で、現座の身体では体力と歩く速度も違います。

また、トリシャ様の歩く速度にあわせ、さらに魔族たちや魔物と戦いましたので

マオの城に辿り着くまで7日かかりました。


 その間はテントや洞穴で寝てましたが、トリシャ様が結界は張ってあるものの

ある程度の魔族になりますと、その結果を破り夜襲をしてきましたので

身体もあまり休まる事もなく、かなり大変でしたが......マオの城に着いた後の方が

意外とあっさりで、マオも簡単に倒せましたが。


「今後の事を考えますと、慣れるしかありませんね」

「そうですよ、慣れるしかありません。ただ、トリシャが身体や衣服を

綺麗にする魔法をその時考えましたので、トリシャにその魔法を使ってもらえばよいですけどね」


アルニルは意地悪そうに言いますが、そんな魔法があるのですね。


「そんな魔法があるのですね」

「はい、あります。トリシャも温泉好きですから、身体を綺麗にしないと我慢できませんから」

「確かにそうですね」


トリシャ様は温泉が好きなのは前回の旅でわかりましたし、マオを倒す前に

この機会でないと行く事ない地方の温泉にむりやり連れていかれますしね。

なので、トリシャ様はわたしと同じなのでしょう。


「ただ、問題はトリシャも思いつきで色々な魔法を考えますので、忘れる事も多いのです」

「そうなのですか?」

「はい。考えてもあまり使わない魔法は忘れますので。

なので、トリシャに聞かないとなりません」

「では、トリシャ様にお聞きしましょう」

「わかりました」


わたしとアルニルは自室を出て、トリシャ様のお部屋に向かいましたが

ノックをしても返事がありません。


「お返事がありませんね」

「そうですね。ただ、鍵はかかっていませんね」


アルニルがドアに手をかけると、ドアが開きました。


「どうも、部屋には居ない様です」


開いたドアの隙間からアルニルが中を確かめましたが、トリシャ様はおりませんでした。


「どこにお行きになったのでしょうか?」

「いつもでしたら午前中は部屋にいるのですが、わかりません」


アルニルもトリシャ様がどこにお行きになったのか、わからないようです。


「そうなりますと、城内を調べないとなりませんね」

「トリシャは目立ちますので、聞けばわかると思います」

「そうですね」


トリシャ様は目立ちますので、城内に居る者に聞けばよいでしょう。


 わたしとアルニルは城内でトリシャ様を見かけた尋ねましたが、見たものはいません。


「目立つトリシャを見てないと言う事は、城外に行ったか、意外な所にいるかもしれせん」

「城の外だと探すのが大変ですが、意外な所はどこいなりますか?」

「トリシャは意外と食いしん坊ですから、厨房ですよ」


アルニルが笑いながらそういいますので、厨房へ行ってみる事にします。

時間は間もなく昼食の時間となりますので、今は一番忙しい時間です。


「忙しい時間中、失礼します」


アルニルが厨房に入ると......食事を並べてあるテーブルに座っているトリシャ様の姿がありました。


「ほら、居ましたよ」

「いらっしゃいましたね」


わたしとアルニルがこう言いますと、トリシャ様もこちらを向きましたが

パンを手に持っていました。


「姫様、アルニルもお腹が空いたのかな」


トリシャ様はそういって、千切ったパンを口に運びました。


「いえ、違います。トリシャ様を探していました」

「そうなんだ。よくここがわかったね」

「食いしん坊のトリシャだから、城内に居るならここかなと思ったので」

「アルニル、あたしは別に食いしん坊じゃないよ。お腹が空いたから何かないか厨房に聞きに来ただけだよ」

「それが食いしん坊です。食事は時間になりましたら、部屋に運びますので」


アルニルがこう言いますと、トリシャ様は何も言わずパンを食べ

テーブルの上にあったスープを口にし


「それはいいとして、何の様かな」


と話しを変えようとしますが、本来の目的は身体と衣服を綺麗にする魔法の話です。

その事をトリシャ様に尋ねます。


「ああ、その魔法は何かと便利だからいつも使ってるから大丈夫」

「そうなのですね」

「お風呂は好きだけど、エルフの森は温泉がないし、水汲みや湯を沸かすのも面倒だからこの魔法を使ってたよ」

「そ、そうなんですね」

「昔はあたしの家のすぐ横に水が湧いてたけど、ファーガスとの旅から帰ってきたら

大雨で近くの斜面が崩れてその湧水が使えなくなったからね。

ただ、この魔法自体はファーガスとの旅の時に考えたけど」


魔法自体はファーガスとの旅で考えのはアルニルも言ってましたが

記憶をたどると水が少ない場所を移動して、ファーガスたちの体臭が酷くなったのと

トリシャ様が1週間近くお風呂に入れなく、洗濯もできないのでこの魔法を考えたのですね。


「あの時は1週間ほどお風呂に入っていませんからね......」

「あれはとててきつかったけど、ファーガスは案外平気だったみたいだね」

「ファーガスは......結構平気だったようですね。あまりお風呂は好きではなかったようです」

「そのファーガスの生まれ変わりの姫様は、綺麗好きだからね」

「王女であり女性でありますので、身体は綺麗にします」

「そうだね」


トリシャ様は笑いますが、そのままスープを口にします。


「ところで、何でこの魔法の事を聞いたのかな?」

「次の旅やこれからの旅で、お風呂に入れない事も増えますので」

「なるほど」

「ただ、その方な魔法があってよかったです」

「あたしも、綺麗好きなほうだからね。この服だって毎日魔法で綺麗にしてるし」

「そうなのですね」

「といいますが、トリシャはこの服しかありませんので」

「アルニル、同じ服がもう1着あるからこれだけじゃないよ」

「似たようなものです」


前回の旅では日数分と予備の着替えを持って行きましたが、この魔法があれば

最低限の着替えを持って行けばよいですし、荷物も減らせますね。

トリシャ様も服は2着だけのようですし。


「旅の荷物は出来るだけ少ないないほうがいいし、やぶれたりしても魔法で直せるし

さらにいえば、魔法で同じ服を作れるから」

「魔法で衣服を作れるのですか?」

「できるよ。材料はいるけど服の切れ端があれば十分だよ」

「そうなのですね」

「あるいは、元の服を複製できるよ。これなら予備の服を用意できる」

「そのような事も出来るのですね」

「旅の荷物は軽くしたいけど、戦いや険しい道で服は破れるからね」

「確かにですね」


戦いや森や岩場などで引っかけるなど、服は意外と破れます。

なので、服を複製したり、破れた時に同じ服を作れるようにしたのですね。


「色々な魔法が使えることがわかりましたので、ありがとうございます」

「別にいいよ。お城で美味しい物を食べさせてもらってるから」


トリシャ様はそう言って、今度はお肉を切り分けで口にします。


「そうですか。では、わたしはこれで失礼します」

「忙しい所お邪魔しました」


アルニルは厨房で忙しくている方たちに頭を下げますが、わたしも軽く会釈をして厨房を出ていきました。

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